今年初めにハーバード大学神学部を辞めると発表した、人種問題を歴史学的分析を用いて論じ、熱心な社会活動家としても知られるコーネル・ウエストが、6月30日に同大神学部長に宛てた書簡を公開し、辞任の理由を説明するとともに、同大関係者の「ナルシスト的な学問的プロフェッショナリズム」を非難した。宗教専門RNS通信が7月13日報じた。
7月からニューヨークのユニオン神学校に「テニュア」(教授として終身在職する権利)を持って在籍することになったウエストは、2月にハーバード大学が「テニュア」申請が認めないなら、ハーバードを去ると脅していたという。3月にはユニオン神学校への移籍が発表された。
書簡の中で、ウエストは、パレスチナ人に対するイスラエルの扱いを公然と批判したことが、大学が「テニュア」申請を拒否したことに一役買ったと考えている、とツイッターで述べた主張を繰り返した。ウエストは、「教授陣がテニュア候補者を熱心に支持した後、ハーバード大学がパレスチナ人の大義を敵視していることを理由に、臆病にも拒否するのを目の当たりにして、うんざりした」と指摘している。
ウエストは、アメリカにおける黒人問題を経済史、政治史、宗教史、倫理学の視点から論じた代表作『レイス・マターズ』(邦訳書『人種の問題――アメリカ民主主義の危機と再生』)は全米で35万部を売り上げた。そのほかにも多くの著作がある。(CJC)
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