425を超えるカトリック団体と12万人のカトリック信者が、健全な地球と人々の健康を要求する要請書を、国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)と国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の議長やそれらに参加しているすべての政治指導者に提出した。教皇フランシスコの回勅とパリ協定に応える「ラウダート・シ・ムーブメント」が11月2日に公式サイトで伝えた。
「気候危機と生物多様性の崩壊は双子の危機です。温暖化する世界は非難される余地のない種の喪失の急増を悪化させています。そしてさらなる自然の喪失は、地球温暖化を1.5度に制限することを実現する私たちの許容能力を危険にさらすでしょう」と、同要請書は強調した。
「私たちは猛烈な速さで地球規模の破滅に向かって進んでおり、それは私たち共通の家にとって取り返しのつかないものであるように見え、被造物全体にわたる悲劇的ないのちの喪失を伴うものですー私たちが大きな緊急性をもっていま行動しなければ」と、同要請書は続けて強調した。
COP15はオンラインで2021年10月11日~15日に、対面で中国南西部の昆明で2022年4月25日~5月8日に、二つに分けて開かれた。COP26は10月31日から11月12日まで英スコットランド南西部にあるグラスゴーで開かれている。
「私たちはこれら二つのCOPや、G7とG20で、次のことをあなた方に強く求めます。
*人間が引き起こした気候変動と生物多様性が同一の危機の一部として、はっきりと認識すること。地球の叫びと貧しい人たちの叫びの両方に応える、野心的で統合された、そして変革的な行動の必要性を認めること。
*温暖化を摂氏1.5度に制限するためにパリ協定を、そしてこれ以上生物多様性が必ず失われないようにするために、土地と水の50%保全と、残りの全ての土地と水域の回復と持続可能な管理という新しい生物多様性に関する地球規模の目標を、緊急に肯定すること。
*収入の高い国々の生態学的な債務を認めるとともに、全ての国々が全ての民族と地球のために働く経済を再開できるように、金融システムの改革と債務帳消しに合意すること」と、同運動はこの要請書に記し、こう続けた。「この目標を達成するために、全ての国々の政府は次のことをしなければなりません。
*野心を増大させること:温暖化の摂氏1.5度制限を達成する地球規模の努力の自らの公平な国家的配分と、自然の50%保護という新しい地球規模の目標を反映するために、気候と生物多様性に関する行動についての、近い期間の国別目標を更新すること。
*約束を履行すること:既存の資金に関する約束を確実に達成し、発展途上国における適応策・緩和策及び損失と被害を支援する新しい目標に合意すること。
*変革の触媒作用を引き起こすこと:全ての新しい化石燃料の産業基盤をやめ、そして破壊的な助成金を社会的に共鳴しやすい再生可能エネルギーと農業生態学的な農耕の手法へと向け直すこと。
*権利の優先順位をつけること:とりわけ気候と生物多様性に関する行動における先住民族や地域共同体の権利を含め、人権を守り尊重する義務を改めて肯定し尊重すること」
この運動はかつて2015年に「グローバル・カトリック気候運動」として誕生した。人間の活動が他者と全被造物に与える影響について、連帯と正義の観点から考察した回勅「ラウダート・シ」https://www.cbcj.catholic.jp/publish/laudato_si/の発表と、「世界的な平均気温上昇を産業革命以前 に比べて2Cより十分低く保つとともに、1.5Cに抑える努力を追求すること」を長期目標とするパリ協定がパリで開かれたCOP21(気候変動に関する国連枠組条約第21回締約国会議)で生まれたことという、「二つの変革的な出来事の組み合わせ」が、この運動にとっての「2015年のカイロス(機会の時)」だったという。
その後、この運動は2021年7月30日にラウダート・シ・ムーブメントと改称。カトリック東京大司教区広報は9月8日、この運動の歴史を紹介する日本語の記事を公式サイトに掲載した。日本からは、聖コロンバン会日本がこの運動の加盟団体となっている。
(エキュメニカル・ニュース・ジャパン)