映画『われ弱ければ 矢島楫子伝』 主演の常盤貴子さんらが試写会へ 2022年1月30日
三浦綾子の同名小説を映画化した『われ弱ければ 矢嶋楫子(かじこ)伝』の完成試写会が1月14日、なかのZERO大ホール(東京都中野区)で行われた。主演の常盤貴子さんをはじめ、石黒賢さん、渡辺大さんら多数の共演者、山田火砂子監督が舞台あいさつに登壇した。
矢嶋楫子(1833~1925年)は、現在の熊本県の益城町に生まれ、25歳で武士と結婚したが、夫の酒乱や暴力で離婚。日本で初めて女性から離縁を申し出たとされる。その後、上京し、教師となり、女子学院初代校長を長い間務めた。また、禁酒を提唱する日本キリスト教婦人矯風会を組織し、一夫一婦制の建白や、公娼制度の撤廃運動など女性の権利問題に取り組んだ。
同作は、明治・大正という女性が一人の人間として尊重されなかった時代に、女性解放運動に生涯を捧げた矢嶋楫子の姿が描かれている。メガホンをとったのは、国内の女性監督で現役最高齢(89歳)の山田火砂子さん。前作『一粒の麦 荻野吟子の生涯』を撮ることで矢嶋揖子を知り、女性が差別されていた時代に抗う姿に感銘を受けたという。さらに、昨年2月、東京五輪・パラリンピックでの女性蔑視の発言に「男尊女卑は現代でもはびこっている」と感じ、これを機に矢嶋揖子を題材とした映画に踏み出すことになった。
山田監督が2007年に撮った『筆子・その愛――天使のピアノ』でも主演を務めた常盤貴子さんは、「『使命とは命を使うことです』と語る揖子の勇気と、御年89歳の監督が魂を削って伝えたかったことを映画に乗せることができていたら」とあいさつ。
23日で90歳を迎える山田監督は、40歳で小学校の先生となり、90歳になろうとしている時にアメリカに渡るなど、老いてなお果敢な人生を送った矢嶋楫子の生き方を称え、「自身もまだまだがんばって、映画を撮り続けたい」と意欲を示した。
映画は、2月12日から順次、東京・新宿区の「K‘s cinema」など全国で上映される。