「かわいい」「ときめき」詰め込んで… 少女漫画雑誌「ハレルヤ」創刊 沖縄の専門書店で完売 2022年7月1日
クリスチャンのクリエイターらが作品を持ち寄り、6月1日に創刊した少女漫画雑誌「ハレルヤ」がネット上で注目を集めている。沖縄のライフセンタービブロス堂(https://biblos-do.jp)では、初回入荷分が1カ月経たずに完売するという異例の売れ行きだ。
きっかけは、自らもクリスチャンが主人公の漫画を描いていた羊野めぇこ(仮名)さんが、昨年12月にSNSでつぶやいた「『クリスチャン系少女漫画雑誌』があったら……」という発信だった。「春夏秋冬の全4回完結の季刊誌にして、ふろく(付録)には便箋セットやディボーションノート、イースター柄のペーパークラフト(宝石箱)、クリスマスカードなど」とのツイートに対し、さまざまな反響が寄せられた。
昨日付録の話ができたので…✨
【クリスチャン系少女漫画雑誌】があったらこんなかな⁉️を妄想してみた🌸😆
春夏秋冬の全4回完結の季刊誌にして、付録には便箋セットやディボーションノート、イースター柄のペーパークラフト(宝石箱)、クリスマスカードなど❤️漫画のタイトルたちが古くさいのは愛嬌で🤣 pic.twitter.com/gwGi5sKrXV— 羊野めぇこ。 (@meeemeeehituzi) December 3, 2021
当初は知人のクリスチャンに声をかけ、100部程度の同人誌を作るつもりでいたが、たまたま羊野さんのツイートを目にした大手出版社で編集経験をもつよっしー(仮名)さんが「協力したい」と名乗りを上げた。さらに、3月にはキリスト教書を扱うライフセンタービブロス堂からも「店で販売したい」との要請があり、加えてプロジェクトに共感して献金したいとの申し出も背中を押した。妄想で書いていた企画書が瞬く間に現実味を帯び始め、はじめは半信半疑だった描き手の側にも徐々に熱が入る。
羊野さんが思い描いたイメージは、自身も愛読していた『なかよし』『ちゃお』『りぼん』。その背景には、20歳でクリスチャンになる前、すでに世に出ていたトラクト漫画が苦手だったという経験がある。「いま読めば理解はできますが、当時は押し付けられているという気持ちが強かったし、オジサンが何かしているのを読んでも全然ときめかなかった(笑)。その時の気持ちがよく分かるので、ノンクリスチャンでも受け取ってくれるものが作りたかった」
有志がSNS介して協力
「信じさせるために説明する」のではなく
目指すのは「信じさせるために説明する」トラクト漫画ではなく、信仰観を押し付けない漫画。企画書には、「かわいい♡キリスト教~クリスチャンライフはときめきがいっぱい」「クリスチャンもノンクリスチャンも読めるゆるいクリスチャン系少女漫画雑誌」とある。掲載する作品に共通のルールは、「作風が『少女漫画』」「主人公が10代以下」「ハッピーエンド」のみ。
最終的に作品を投稿した10人の描き手のうち、みなみななみさん以外は全員アマチュアだったが、3月末に設定した締め切りから編集作業を重ね、6月1日の発行に間に合わせた。4種類の豪華なふろく=写真下=も付いてA5判48ページ、1部350円。「かわいい」を詰め込んだ夢の少女漫画雑誌が完成する。想定外のアクシデントもあり、結果的に初版1000部を刷ることになった。
Webショップ6店舗とライフセンタービブロス堂で販売を始めたが、Webショップでは早々に完売。現在は再入荷したビブロス堂、および通販サイト(https://almondshop.official.ec/items/63227941)で購入できる。
すでに、次のクリスマス号へ掲載する作品も募集を始めている。投稿された作品は、「心を込めたささげもの」としてすべて掲載するという方針だ。その理由には、「すべての奉仕は、技術の良し悪しで人が評価するのではなく、神様が喜んでくださる」という確信がある。「賜物を人と比べて出し惜しみしてしまうのはもったいない。自分や、自分の家族が投稿した雑誌を使って伝道できれば理想です。トラクトのようにただ渡して終わるのでなく、自分がささげたものから良い循環が生まれてほしい」
雑誌の発行主体は、羊野さんらアマチュアによる企画団「プロジェクトハレルヤ」と名付けた。子どもから大人まで、クリスチャンが賜物、賛美を発信できるよう支援するプロジェクト。「クリスチャンであることにときめきたい」「クリスチャンアートと証の『発信場所を作る!』『形に残す!』を、支援したい」「クリスチャンが仕事を得たり、人とつながるきっかけを、賛美する中で得られますように!」の3点をビジョンに掲げる。作品の応募や問い合わせは同サイト(https://projecthallelujah.wixsite.com/love-jesus)まで。
来年以降も年に1回程度で発行を続けたいと話す羊野さん。すでに紙媒体にとどまらず、「和×レトロ×キリスト教」をテーマに日本の文化を結集した「和礼拝」、渋谷の施設を借りた「プラネタリウム伝道イベント」なども計画中。今後の展開からも目が離せない。