【教会では聞けない?ぶっちゃけQ&A】 教会の情報以外は不要? 平岡正幸

Q.牧師から「キリスト新聞」は読むなと言われてしまいました。俗世間の情報に触れることもあまり推奨されていません。知らなくていいこともあるのでしょうか。(20代・女性)

 教会がカルト化して社会問題となった事例が2000年代に入って続けて起こっています。いずれも秘められた教会内部のことが問題でした。そのカルト化する要因となるものがこの質問の中にあります。情報コントロールと言われるものです。ナチス・ドイツでも戦時下の日本でもそうでした。情報の扱い方によって、人は容易に操作されるということを歴史も教えてくれます。

 カルト的な団体では、内部の情報だけを信じて、社会の情報から遮蔽させるという生活管理がされています。信者向けの機関紙が唯一の情報源で、社会一般の情報に関心を向けさせない指導がなされたりしていると、その団体は危険区域に入っていると言えるでしょう。私は、カルト問題に二十数年取り組んできましたが、そのようなカルト的な団体を数多く知っています。

 情報を制限します(されます)と、当然のこと、ものを見る視野が狭くなります。それによって判断力も低下し、あるいは独りよがりの傾向が強くなります。情報をコントロールすることで、思考、行動、感情まで人は影響を受けるのです。

 クリスチャンは広い視野に立ちつつ、キリストの御心は何であろうかと思索しつつ歩む者ではないでしょうか。旧約の預言者たちも国際情勢、国のあり方、信仰のあり方、社会の状況など、幅広い見識を持ちつつ、神の言葉を聴き、そして語りました。情報化社会の現代では、特に、私たちクリスチャンは多くの情報の中で、キリストの御心、預言者の目をもっていかなければならないと思います。

 聖書も広い見識の中でキリストの御心を思索することについて、次のように言っています。「きょうだいたち、物の考え方については子どもとなってはいけません。悪事については幼子となり、考え方については大人になりなさい」(コリントの信徒への手紙一14章20節)。

 ひらおか・まさゆき 1950年、福岡県生まれ。日本ルーテル神学大学神学部(現ルーテル学院大学)、日本ルーテル神学校卒業。83年より日本福音ルーテル教会牧師。85年から統一協会、94年にはオウム真理教信者の脱会支援に着手するなど、長くカルト問題に取り組み、カウンセリング活動を続けた。共著書に『マインドコントロールからの解放』(三一書房)、『啓示と宗教』(サンパウロ)など。2009年、58歳で逝去。

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