【教会では聞けない?ぶっちゃけQ&A】 公道での伝道活動に許可は必要? 大島有紀子

Q.公道でチラシを配ったり、賛美歌を歌ったりして伝道する際には許可が必要ですか?(40代・女性)

 伝道のビラを配ることや、また、伝道目的で公共の場で賛美歌を歌うことなどは布教教活動であり、憲法20条1項の信教の自由の内容として保障されていますし、憲法21条の表現の自由の問題にもなります。

 ところで、布教活動は、単に信仰者の内心にとどまるものではなく、また、公道は不特定多数の人々が往来するための道路ですから、それらの通行を妨げるような仕方で、ビラを配ったり、道をふさぐように隊列をなして賛美歌を歌うということになりますと、通行の邪魔になることは容易に理解できます。

 そこで、一般交通に著しい影響を及ぼすような交通の形態もしくは方法により道路を使用する行為または道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為で、公安委員会が定める行為については、警察署長の許可が必要とされています(道路交通法77条1項4号、公安委員会規則)。

 その中には例えば交通頻繁な道路でものを配るとか、奏楽で人寄せすることも含まれています。しかし、それはあくまで、交通に著しい障害になる場合ですから、憲法の原則や法律のタテマエからすれば、許可を要するような場合はそれほど多くはないはずです。

 もちろん申請すれば、交通の妨害という実害がない時はもちろん、公益上、社会慣習上やむを得ない時は許可しなければならないとされています。

 さて、ご質問の回答としては、特段交通の邪魔になるよう場所でなく、少人数でするビラ配りや、賛美歌を歌うことには許可はいらないと考えます。規模が大きく、「集会」といえるような場合は別として、安易に警察におうかがいを立てたり、「念のため」と許可申請をしたりというのは信教の自由の行使についての判断をまるごと国家に委ねるようなもので、いかがなものかと思います。

 「君が代」に抗し処分されても戦い続けている方がいます。憲法の定める信教の自由は、信仰者が不断の努力で保持し戦い取っていくものだからです。

*本稿は既刊シリーズには未収録のQ&Aです。

 おおしま・ゆきこ 弁護士。1952年東京生まれ。72年受洗。中央大学法学部卒業。84年に千葉県弁護士会へ登録。渥美雅子法律事務所勤務を経て、89年に大島有紀子法律事務所主宰となり現在に至る。日本基督教団本所緑星教会員。

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