「ルターが内に生きた生涯」 徳善義和氏の追悼記念会開催 2023年7月11日

 今年1月3日に逝去した徳善義和氏の追悼記念会(ルーテル学院、ルター研究所、日本福音ルーテル市谷教会、同東京教会共催)が6月17日、日本福音ルーテル東京教会宣教百年記念会堂(東京都新宿区)で開催された。マルティン・ルターの世界的な研究者として、教育者として、さらにエキュメニカル運動の貢献者として多くの働きを担ってきた故人を偲び約150人が集った。

 第1部の記念礼拝では、石居基夫氏(ルーテル学院大学学長)が「自由と愛」と題してメッセージ。子どものころから徳善氏と親交のあった石居氏は、神学生時代には教師としての徳善氏から歴史神学を直に学んだ。「よく準備された歴史神学の講義で、あたかも目の前にルターその人を見ているかのようで引き込まれ、信仰の養いとなった」と話し、学問だけでなく信仰的にも大きな影響を受けたことを懐古した。ルターをとおして神の言葉に捉えられ、生かされた故人の生涯をガラテヤ書(2:20)に照らし、「それはまさに『生きているのは、もはや私ではありません。ルターが私の内に生きておられるのです』と言ってもいい」と表現した。

 第2部の記念会では、ルター研究所所長の江口再起氏が徳善氏の功績に触れながら、数多く残した著書のうち、代表的なものとして『キリスト者の自由』『マルチン・ルター 生涯と信仰』(教文館)、『マルティン・ルター ことばに生きた改革者』(岩波書店)の3冊を挙げ、宗教改革500年の年に出版された『ルターと賛美歌』(日本キリスト教団出版局)が最後の著作となったことを紹介した。

 続いて、ともにエキュメニカルの働きを担ってきた吉高叶氏(日本キリスト教協議会議長)、ルーテル/カトリック共同委員会委員の光延一郎氏(イエズス会司祭)、西原廉太氏(日本聖公会主教、手紙の代読)らが登壇し、追悼の言葉を述べた。

 家族を代表してあいさつした子息の徳善新也氏は、残された書籍や多くの関係者の話によって、父について知ることができ幸せに思うと謝意を述べた。晩年は目が見えなくなり、耳が聞こえなくなり、肉体的には衰えていく中、歌謡曲など滅多に聞かない徳善氏が、美空ひばりの「川の流れのように」を繰り返し聞いていたという。「父はこの歌詞に、自らの人生を重ねていたのではないか」と思いを馳せた。

 第3部では、松本義宣氏(日本福音ルーテル東京教会牧師)の進行により、バッハのオルガン演奏が行われ、ルーテル市ヶ谷教会信徒の湯口依子氏が、「われ汝の御座の前に進む」など5曲を演奏。故人との別れを惜しみつつ、大柴譲治氏(ルーテル学院理事長)の閉会祈祷で幕を下ろした。

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