第2回「シグニス平和賞」授賞式 谷津賢二監督『荒野に希望の灯をともす』 2023年7月11日
第2回シグニス平和賞(シグニス・ジャパン=カトリックメディア協議会主催)の授賞式・上映会が6月23日、神楽座(東京都千代田区)で開催された。今回受賞したのは医師・中村哲さんの現地活動35年の軌跡を追ったドキュメンタリー『劇場版 荒野に希望の灯をともす』(制作・配給=日本電波ニュース社)を監督、撮影した谷津賢二氏。定員120人の会場は満席となり、同作への関心の高さをうかがわせた。
受賞した谷津氏は1961年栃木県足利市生まれ。立教大学社会学部卒業。94年に日本電波ニュース社入社。95年~98年、同社ハノイ支局長。ヒマラヤ山脈、カラコルム山脈、タクラマカン砂漠など、辺境取材を多数経験し、これまで取材した国は70カ国以上におよぶ。98年から20年にわたってアフガニスタン・パキスタンで中村哲医師の活動を記録。受賞作『劇場版 荒野に希望の灯をともす』は、その時に記録した約1千時間の映像素材を元に制作された。
授賞式には、谷津監督のほかシグニス・ジャパン会長の土屋至氏、同顧問司祭の晴佐久昌英氏が登壇。晴佐久氏は同作を、「平和を作り出す人を作り出す映画」と評し、「中村哲医師が徹底して実践した『普遍主義』は、もう宣教とかそういう話を超えていて、透明感あふれる平和の美しさを私たちに見せてくれる」と授賞理由を述べた。
谷津氏は、「中村哲医師に授かった賞で、自分は代理で受け取りに来た気持ち」と率直な気持ちを明かしつつ、「中村医師は深い信仰を持っていた。声高に言わなくても、言葉や行動の端々に深い思いと誇りがにじみ出ている信仰者だった」と話した。
シグニス平和賞は、シグニスの「平和の文化を推進する」という理念に則って、2014年に創設された。カトリックの世界観や価値観に合致し、特に強く平和を訴えかける優秀な作品を厳選して、前々年の12月から前年の11月までに公開された日本映画作品および監督を顕彰するもの。今回は、2014年にドキュメンタリー映画『石川文洋を旅する』(大宮浩一監督)が受賞して以来、8年ぶり2回目の顕彰となる。