【教会では聞けない?ぶっちゃけQ&A】 聖書のコピーは違法? 大島有紀子

Q.聖書をコピーして使うのは違法行為に当たりませんか?(40代・女性)

 ご質問で「違法」というと、考えられるのは「著作権侵害」です。ところで、著作権は著作者の死後70年、著作者不明の作品であれば公表後70年で権利は消滅しますので、旧約聖書の各文書はもとより、福音書、パウロ書簡など、すべてもともとの著作者の権利についての侵害は問題になりません。

 問題は、翻訳者などの著作権です。著作権法は、これを二次的著作物といっています。現在、広く使われている新共同訳聖書は「共同訳聖書実行委員会」が翻訳し、その著作権は「日本聖書協会」にあります。そこで、これらのコピーは著作物の複製に当たりますから、原則として権利者の許諾が必要です。

 ただし、著作権法第3条は、著作物を利用する者が私的利用の範囲で複製する場合には著作物の自由利用(許諾なしの利用)を認めています。ここでいう私的利用は営利目的でないことが前提で、個人的な利用とか、家庭内の利用、その他これに準ずる限られた場合なので、一般には10人くらいまでの利用と考えられています。

 ご質問は、式典・集会などで用いられるプログラムなどに聖書の箇所が印刷される場合、勉強会などで必要な聖書の箇所をコピーして配る場合でしょうが、この程度の利用は聖書のごく一部の箇所ですし、目的が営利ではないので私的利用に準ずると考えていいのではないでしょうか。

 なお、集会案内などに聖句を記載するのは、不特定多数に配るので私的利用とは言いかねますが、それは宣教という聖書の本来の用い方でありますから正当な引用(法32条)として許容されていると言えます。

 その昔、聖書は教会で聖職者によって読まれるもので、一般の信徒は聖書を手にすることも読むこともできなかったそうです。しかし、今ではありがたいことに印刷技術によって、そして各国語に翻訳されて多くの人々がどこでも聖書を読むことができるようになりました。それを思うと、少々かさばってもできるだけ自分の聖書を携帯して使うようにしたいものです。

*本稿は既刊シリーズには未収録のQ&Aです。

 おおしま・ゆきこ 弁護士。1952年東京生まれ。72年受洗。中央大学法学部卒業。84年に千葉県弁護士会へ登録。渥美雅子法律事務所勤務を経て、89年に大島有紀子法律事務所主宰となり現在に至る。日本基督教団本所緑星教会員。

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