神様は好きでも教会は嫌い? 2023年10月2日
「クリスチャニティ・トゥデイ」最高インパクト責任者であり、ゴードン・コンウェル神学校非常勤教授のニコール・マッシー・マーティン氏(神学博士)による論考を紹介する。
教会に迷いを感じている人のための対話
「私はいつもイエスを愛しているが、教会は本当に嫌いだ」
私の親愛なる友人の一人が、彼女の離婚期間の特につらい時期にそう言った。彼女の発言は以前にないことではなかった。私の友人が、教会の長老であった夫から受けた肉体的、精神的、感情的な虐待について、教会の指導者たちに訴えたとき、彼女は辱められ、撃たれたと感じた。彼女の夫は決してその問題に向き合わなかった。教会の指導者たちは彼女の苦しみを癒やすどころか、さらに苦しみを増長させた。教会はもはや信頼できる場所ではないと彼女に感じさせたのだ。
私の友人は「終わって」しまった。
集団脱出
2017年のバーナ・グループの調査は、彼女が唯一の例ではないと結論づけた。回答者の10%は、自分にとっては信仰が非常に重要、というクリスチャンであると自認しており、また自分自身を「脱教会員」、つまり以前は教会に通っていたが、調査時点で6カ月以上通っていない人と考えている。
この調査によって、イエスを愛しているが地元の教会に不満を持っていることが白人女性の間で広まっている感情であることが明らかになったが、バーナ社の『黒人教会の傾向』では、教会に通う黒人アメリカ人は最大で最も人数の多い集団の一つである一方、教会に通っていない黒人アメリカ人の5人に3人が自分はクリスチャンであると考えていることが指摘されている。
若者、特にジェネレーションZ(1990年代終盤から2010年代序盤生まれまでの世代)のメンバーもまた、教会に対する不安を表明している。誰が、あるいは何を信頼できる源と考えるかという質問に対して、自分をクリスチャンだと考える10代の若者の多くは、「牧師、司祭、聖職者」や 「教会の指導者」ではなく、「自分自身」と答える傾向が強い。
この数字が上昇を続けるにつれて、ある疑問が浮かび上がってくる:「神を愛し同時に教会を嫌うことができるのか?」そしておそらくもっと重要なことは、「私たちはこのような質問をすることさえ許されているのだろうか」ということだ。
問うことを許されるのか
多くの人は、揺れ動くことは霊的に何らかの欠陥があることを示しているのではないかと恐れ、公に、あるいは個人的にさえ、どのように答えを探せばいいのかわからないと感じている。彼ら・彼女らは地域の教会が、自分たちの疑問にやさしく応えてくれる場所であると信じられずにもがいている:「教会の指導者たちは、私たちの痛みではなく、彼らの信仰を養うことに熱心なのだろうか?」
この疑念は当然である。教会そのものが本質的に害を及ぼすものではないとはいえ、キリスト教組織が説明責任や責任を欠いたシステムで構成されている場合、教会は安全でない場所になりうるし、実際にそうなっている。教会は人を傷つけることはないが、教会は人が人を傷つけることを容易にできすぎる。
過去10年間に教会を去った約1600万人の女性たちは、性差別や女性嫌悪から、時間の不足や、教会または聖職者の方針に相反する興味に至るまで、さまざまな理由を述べている。Z世代の10代の若者は、信仰に関連する難しい話題について気さくに話してくれる話し相手が欲しいと言う。また、多くの黒人アメリカ人は、精神的な安らぎや親睦、人種差別や移民問題などのトピックを扱う説教を提供する場所としての教会の重要性を語っている。
理由はさまざまだが、教会を去った人々の多くは、教会が自分の居場所であるという要求を満たしてくれないという感覚をシェアしている。
しかし、もしそれが可能だとしたらどうだろう?
進むべき道を見つける
教会によって負わされた傷をどうやって癒やすのか?
私の信仰はどのように私の政見に反映されるべきなのか?
私を傷つけた人々のそばで、私はどのように礼拝を捧げればいいのだろうか?
ジュード3プロジェクト(Jude 3 Project)は、このような疑問に答えるために活動している。クリスチャンが自分たちが何を信じているのか、なぜ信じているのかを知る手助けをしたいという使命に突き動かされ、ジュード3プロジェクトは、クリスチャン-特にアフリカ系の人々-が今日の世界で直面している時事問題を扱う講義、ポッドキャスト、イベント、そしてリソースを提供している。今週は、黒人牧師、神学者、専門家を集め、これらの疑問について率直で刺激的な対話を始める「Courageous Conversations(励ましの対話)」を開催する。
警戒心の強いZ世代から来る疑問であれ、心の傷ついた虐待体験者から来る疑問であれ、ジュード3プロジェクトは、人々が教会にもう一度チャンスを与える信仰を見出す手助けをしている。その答えは簡単には理解できないかもしれないが、それは喜びと慰めをもたらすことを愛する神の愛しみに根ざしている。ジュード3プロジェクトのリソース・ライブラリーで、クリスチャンと、同様にノンクリスチャンの疑問、ニーズ、懸念への取り組みについてさらに学んでほしい。
(翻訳協力=中山信之)
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