【地方からの挑戦~コレカラの信徒への手紙】 新設!「将来計画部」 井上 創 2023年11月11日
富士見高原教会では昨年度から新しい取り組みを始めました。教会の組織の中に、伝道部や教育部などに加えて「将来計画部」を設置したのです。この部会の活動は「これからの教会」について考えるということです。第5週の日曜日の午後に分科会を行い、いくつかのグループに分かれてさまざまなテーマで話し合うのです。何らかの結論を導き出そうというのではありません。お互いの抱いている考え、ビジョン、イメージを知ることが目的です。年に数回ほどですが、話し合いを積み重ねていく中で、おぼろげにも「これからの教会」の姿が見えてくればいいなと思っています。
この将来計画部会の話し合いの際に気をつけていることがあります。それは、自分が思っていることを話すだけではなく、相手の話すことを聞くということです。具体的には、こんな感じです。まずAさんがテーマについて思ったことを話す。同じグループのBさん、Cさんはテーマについて自分が考えたことではなく、「Aさんが今話したこと」について感じたこと、考えたことを話す。ひと通り話した後で、次はBさんがテーマについて話し、AさんとCさんが「Bさんが今話したこと」について思ったことを話す。この繰り返しです。簡単そうに思えてなかなかに難しいようです。多くの人は相手の話を聞くよりも、自分の話を伝えることに終始しようとします。中には自分の意見で相手の意見を屈服させようとする人さえもいます。
私が西東京教区の青年だったころ、友だちがこう言っていたのを思い出します。「分かるとは変わることだ」。互いを愛し合うことは相手を受け入れること、そして自分が変わることなのではないでしょうか。イエス様は私たちを愛し、私たちと同じものになろうとして肉をまとい、人となってくださいました。キリスト者は、イエス様のように相手のために変わっていくことによって愛を証する者なのではないでしょうか。相手の話を聞く。そうすると自分の中で何かが変わる。何がどう変わったのか。「あなたの話を聞いて私はこう思いました」と伝える。このようにして、自分を変えていく話し合いによって、色と色とが混ざり合い素敵な色彩が生まれていくのだと私は信じています。
もう一つ気をつけているのは「夢を語る」ということです。私たちは意見を言う時に、まずそれがいかにして実現可能かということを前提にしてしまいがちです。そうすると、教会の現状や社会情勢などによってアイデアが制限されたり、お互いのアイデアの欠陥を指摘し合ったりと、あまり楽しい話し合いにならなくなります。それよりも、どうやって実現するかは後でみんなで考えるとして、こんなことしたら楽しいな、あんなことができたらいいな、といった夢を語り合うこと。そこから生まれてくる素敵なビジョンを共有し、導きを祈って歩み出すこと。私たちはそれを大切にしています。
そんな話し合いの結果。「教会の庭に咲く垂れ桜をたくさんの人に見てもらいたい」というビジョンをもとに、来年の春に「桜ウィーク」というお花見を企画します。詳細はSNSなどを用いて、これから発信していきたいと思っています。みなさんの教会にも素敵な夢の花が咲きますように。
井上 創
いのうえ・はじめ 1976年東京生まれ。明治学院大学、ルーテル学院大学、同志社大学神学部神学研究科卒業後、千葉教会、武蔵野扶桑教会、霊南坂教会を経て、現在、日本基督教団富士見高原教会牧師。趣味は漫画。