COP28(気候変動に関する国連枠組み条約第28回締約国会議)終了後のメッセージで、世界教会協議会(WCC)総幹事のジェリー・ピレイ氏は、気候正義に関する落胆や成功、そして将来の議題について、さらに深い省察を行った。WCCが12月21日に公式サイトで伝えた。
COP28は、大きな石油会社の最高経営責任者が議長の任を引き継いだ最初の気候会議であり、そしてこれがいくつかの期待を低める土台を作った。化石燃料産業からの代表者たちの出席数も記録的な多さであり、前回のCOPよりも4倍も多かったのである。
「しかしながら、誰もが驚いたことに、COP28のまさに初日は、今のところ各国政府による約束や拠出金が不十分であるにもかかわらず、『損失と被害基金』を確保することで大きな勝利をもたらした」と、ピレイ総幹事は述べた。
COP28の交渉の核心にあったのが、パリ協定の下における、これまでで初めての「グローバル・ストックテイク」(訳者注:「パリ協定の目的や長期目標と比較して、国際社会全体の温暖化対策の進み具合がどの位置にあるのかを、各国による温暖化対策や支援に関する状況や、IPCCの最新報告書などの情報を基にして、5年ごとに評価するための制度」)が頂点に達し、とりわけ化石燃料に焦点を当てたことだった。
この問題について合意に達するために、COP28は23時間も延長しなければならなかったが、その呼びかけには「20050年までに化石燃料から脱却するとともに、この重大な10年間において行動を加速させる」ことが含まれた。
30年近くも経て、COPがはっきりと化石燃料を名指ししたのは、これが初めてである。
「しかしながら、この成果には化石燃料の完全な段階的廃止が欠落していた」とピレイ総幹事は語った。「COP28には、嘆くべきことが多い」
しかし希望も
それでもなお、ピレイ総幹事は希望の点にも言及した。子どもたちの命と人類を守るために、WCCは気候変動の偽情報と闘うための法的枠組みを呼びかけた。12月14日、国際刑事裁判所の締約国総会に対する提言の中で、WCCは気候変動の偽情報に取り組むためのより良い法的枠組みの創設を強く求めた。
「この提言の主な目標は子どもたちの命を救うことだ」とピレイ総幹事は述べた。「要するに、WCCの提言は、現在の国際刑事の枠組みにおける限界が、世界中で何十億人もの人々、とりわけ脆弱な社会の成員を危険にさらす偽情報の意図的な行為に対する刑事免責の問題を助長しているということだ」
ピレイ総幹事はまた、COP28ではコロンビアのような発展途上諸国が化石燃料不拡散条約の支持を主導する姿が見られたことに言及した。「オランダのような他の国々は化石燃料産業への補助金を削減することに合意した」
ピレイ総幹事はこれらが祝うべき成功だと説明した。「特筆すべきことに、宗教者の声がこれらの重大な企てのために力強い運動を進めたのだった」と彼は言った。「COPのさまざまな公式文書の中で私たちに対するいくつかの言及や認識も伴い、COP28は宗教共同体のより大きな存在が見られたところでもあった」
COP28では、気候のための行動の政策が全てのものが居住可能な世界を創るのを助けるような世界を新たに想像しつつ、宗教共同体には水と食料と気候の正義に取り組む道義的な責務があることを、WCCが何度も繰り返し述べることもあった。
(COP28における)信仰の展示館はその種で初めての試みであり、宗教共同体が団結しCOP28のフロアを拠り所にすることを可能にした。
未来の展望
未来において、このプロセスが、1995年のベルリンにおけるCOP1以来すべての気候会議に積極的に関与してきたWCCを含む、あらゆる宗教的な行為主体とのさらに幅広い協力関係と協働をもって続くかもしれないと、ピレイ総幹事は語った。
子どもたちは自らの声を上げるのに、WCCと協力団体によって支援を受けていた。ケニア出身の耳の聞こえない12歳の少女から力強いメッセージが伝えられ、障害を持つ人たちを気候の解決戦略に含めることの重要性が強調された。
COP29は2024年にアゼルバイジャンの首都バクーで開かれる。「宗教共同体として、私たちは化石燃料の段階的廃止を求める自らの野心と、地球の気温上昇を産業革命以前のレベルから1.5度にとどめるための自らの継続的な努力を、強めなければならない」と、ピレイ総幹事は結んだ。
(エキュメニカル・ニュース・ジャパン)