【教会では聞けない?ぶっちゃけQ&A】 教皇を選ぶ基準は? 平林冬樹

Q.教皇はどういう基準で選ばれていますか?(10代・女性)

 カトリック教会で、各地域を統括する人は司教(bishop)です。教派によって、日本では監督、主教などと呼ばれる役職者です。全世界の司教の中で首位を占める最高の司教を教皇と呼びます。いわば総監督ですね。

 司教は、単に地域教会の統括者というだけでなく、使徒たちの後継者です。イエスは、神の救いの啓示を使徒たちに託しました。人がそれを自分なりに解釈したり変更したりすることは許されません。司教は、使徒たちが受けた神の啓示を誤りなく忠実に伝える任務を担っています。すべての司教は、その前任者を遡っていくと、使徒たちに辿り着きます。使徒の時代から現代まで、その糸は途切れずまっすぐに繋がっています。これは使徒継承と言われ、使徒たちから受け継がれた信仰の遺産を教会が誤りなく伝えている保証になります。使徒たちの頭がペトロ、その後継者がローマ司教であり、司教たちを代表する教皇です。

 各司教は、担当地域を統括するために顧問を任命します。教皇は、ローマの司教ですが、世界の教会全体を統括するため、特別な顧問を世界各地から選びます。これが枢機卿(cardinal)です。

 教皇は自由に辞任できますが、終身制です。教皇空位になると、枢機卿総会についでコンクラーベと呼ばれる教皇選挙会を開きます。

 選挙権者は、80歳未満の枢機卿で、定員120人。選挙人は完全に外部から遮断されます。選挙に先立ち、枢機卿らは教会の現状と未来について数日間、互いに祈り、何度も分かち合います。その後、選挙は日に2回繰り返されます。3分の2の得票者が、その選挙結果を自由に受け入れた時点で、新教皇になります。

 教皇を選ぶ手順は細かく決められています。しかし、どんな人を選ぶかを明文化した基準はありません。選挙会には、確かに聖霊が働くとしか言いようがないと思います。

*本稿は既刊シリーズには未収録のQ&Aです。

 ひらばやし・ふゆき 1951年フランス、パリ生まれ。イエズス会司祭。上智大学大学院神学研究科博士前期課程、教皇庁立グレゴリアーナ大学大学院教義神学専攻博士後期課程修了。教皇庁諸宗教対話評議会東アジア担当、(宗)カトリック中央協議会秘書室広報部長、 研究企画部長などを経て、日本カトリック司教協議会列聖推進委員会秘書、上智大学神学部非常勤講師。

【既刊】『教会では聞けない「21世紀」信仰問答I -まずは基礎編』 上林順一郎監修

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