【地方からの挑戦~コレカラの信徒への手紙】 うちの牧師は女子大生!?(2) 広瀬香織 2024年4月11日
「うちの牧師は女子大生!?」というタイトルから「女子大生が急に牧師になったのか?」あるいは「現役牧師が女子大生になったのか?」と読者は疑問に思ったかもしれない。想像がついたかもしれないが、答えは後者である。私は実際、現役女子大生であるが、子どもがいれば、自分の息子か娘くらいの年齢の学生たちと一緒に勉強している。
記憶能力に自信はないが、大学の勉強とは、そもそも記憶力とはあまり関係ないように思う(学部によっては記憶力が必要な場合もあるが)。レポート課題も人生経験が少しだけ長い分、書くこともたくさんあり、今のところそれほど学業に困っていない。むしろ高校時代、短大時代の成績よりも今の方が良いくらいだ。日々、知識のアップデートを楽しんでいる。私と同じ世代の社会人学生さんも案外多いが、皆、学びを楽しんでいる。
現在、人間科学部健康福祉科学科に在学しているが、福祉の起源はもとをたどれば、キリスト教の「愛の精神」から発生していることなので、教授よりも少しだけ詳しく知っていることもある。あるZoomの交流会で教授と学生さんからの質問が私に集中してしまい、誰が教授なのか分からなくなるというハプニングが起こった(教授と私は同年代か、教授の方が若い場合もあるため)。
このように日々、女子大生を楽しんでいる私だが、こんな質問もよく受ける。「牧師が大学生をするということはたいへんだと思いますが、教会の信徒さんには、どのように理解を得たのですか?」――もっともな質問だと思う。しかし、新居浜教会の特長に「なんでも主を信じてチャレンジしよう!」「最も小さくされた者たちに仕えよう!」という信仰姿勢がある。前任者の八束潤一牧師が新居浜教会を辞任する際、信徒たちに「私の後に着任する牧師は20代の若い牧師だから、いろいろ口出しせずに、みんなで力を合わせてビジョンを持って伝道にチャレンジしてほしい」と言い残してくださったからでもある。そのため誰一人、私の受験に反対する人はいなかった。むしろ「お祈りしています!」と言って応援してくれた。
今の時代、パソコンとインターネット環境があれば、リモートでどこの大学でも学べる時代だ。地方は都会よりも情報量が圧倒的に少ない面があるので、大学に行くかどうかは別として自ら学ぶ環境に身を置いていないと、牧師も教会も時代に取り残されてしまうのではないか。
また子ども食堂を教会で行っているが、子ども食堂の一環として学習支援をしている。そのため牧師自ら学ぶことで、「子どもたちに学び続けることの大切さを示す!」などとちょっとだけカッコいいことも言っている(本当は自分への戒めとして言っている)。地方の教会では特に「守りの姿勢」に入ったら衰退あるのみではないかと思う。嘆いてばかりいては何も始まらない。
伝道は常に「祈りつつ、チャレンジ精神で!」をモットーに、これからも伝道も大学生活も励みたい。
(つづく)
ひろせ・かおり 1974年東京生まれ。横浜女子短期大学、東京聖書学校卒業後、日本基督教団秋鹿教会を経て、日本基督教団新居浜教会主任牧師。牧師をしながらShepherd大学大学院で学び、修士号取得。現在も牧師をしながら早稲田大学に在学中。国際ソロプチミストルビー賞受賞。趣味:猫と遊ぶ。水族館や動物園に行く。