五輪開会式での「最後の晩餐」パロディ 仏カトリック司教協議会、WCCが見解 2024年7月30日
7月26日にフランス・セーヌ川で行われたオリンピック開会式の翌日に発表された記者発表資料の中で、フランスのカトリック司教協議会は「美しさ、喜び、感情豊かな素晴らしい瞬間」を称賛した一方、「特定のシーンの行き過ぎや挑発によって傷ついたすべての大陸のキリスト教徒」に向けて自分たちの考えを語りかけた。
同協議会はその記者発表資料の中で、「残念なことに、この式典にはキリスト教に対する嘲笑とあざけりの場面が含まれており、私たちはそれを深く遺憾に思っています」と述べ、「私たちとの連帯を表明してくださった他の宗教宗派の会員の皆様に感謝いたします」と付け加えた。
「今朝、私たちは特定のシーンの非道さと挑発によって傷ついたすべての大陸のキリスト教徒全員のことを思います」と同協議会は続けて記し、「私たちは彼らに、オリンピックの祭典は一部のアーティストのイデオロギー的な偏見をはるかに超えたものであることを理解してもらいたいと考えています」などと述べた。
同協議会はその資料の中で、「キリスト教に対する嘲笑とあざけりの場面」がどれなのかは特定していない。ただ、その開会式ではレオナルド・ダビンチ作「最後の晩餐」をモチーフにした場面が「キリスト教をやゆしている」などと受け止める声が多く、批判が集まっている。
世界教会協議会(WCC)総幹事のジェリー・ピレイ牧師・教授は、国際オリンピック委員会とフランス・オリンピック委員会に宛てた書簡の中で、「最後の晩餐」を描いたとみなされる内容についての説明を緊急に求めた。
「特に、それは、主の最後の晩餐の描写と思われるものに描かれているキリスト教信仰の嘲笑に嫌悪感を抱き、愕然としている、多くのキリスト教徒を怒らせている」とピレイ氏は書いている。 「世界教会協議会は、このアイデアの使い方と、それが何らかの形でキリスト教の信仰に言及することを意図したものであるかどうかについて、私たちに詳細に説明してもらいたいと考えています」
ピレイ氏は、最後の晩餐はキリスト教の信仰と実践にとって不可欠であり、あらゆる形態の嘲笑は最大の無礼と無神経さの表れであると振り返った。
「WCCは、世界中で6億人以上のキリスト教徒を擁する352の加盟教会によって代表されています」とピレイ氏は書いた。 「世界最大のエキュメニカルな交わりの組織として、私たちには式典の最後の晩餐の場面でキリスト教の信仰が嘲笑されていると受け取られることについて提起されたキリスト教徒の懸念に応える責任があるため、私たちの要請に直ちに応じていただくようお願いします」
一方、フランスの国際ニュース専門チャンネル「フランス24」は28日、「開会式振付師、パリ大会開幕時の『最後の晩餐』パロディを否定」という見出しの記事を掲載。「開会式の振付師トーマス・ジョリー氏は日曜、宗教団体が『キリスト教の嘲笑』と感じたものを非難したことを受け、パリ大会の非公式な打ち上げで最後の晩餐のパロディを否定した。それにもかかわらず、大会主催者は『いかなる宗教団体に対しても軽蔑を示す意図はなかった」と謝罪した』」などと報じた。
(エキュメニカル・ニュース・ジャパン)