カーター米元大統領が100歳の誕生日 「ボーン・アゲイン」公言した初の大統領 2024年10月5日
ジミー・カーター米元大統領が10月1日に100歳の誕生日を迎えた。歴代大統領で初めて。1977〜81年に大統領を務めたカーター氏は「福音派」のキリスト教徒で、鮮烈な信仰体験いわゆる「ボーン・アゲイン」をもつことを公言して立候補した初の大統領でもある。100歳の誕生日にあたり、米紙「クリスチャニティ・トゥデイ」は同日「ジミー・カーターの福音主義」と題する記事を掲載し、同氏のキリスト教徒としての歩みを振り返った。
1976年に大統領に立候補した当時、カーター氏は南部バプテスト連盟の教会に所属し、日曜学校で子供たちに聖書を教えるなど、教会活動に熱心に携わる信徒だった。「ボーン・アゲイン」の経験を公言したカーター氏は、キリスト教徒の有権者の期待を集めて大統領に当選(ただし当時はまだ今日のように「福音派」が明確な票田としては形成されておらず、白人福音派の有権者で彼に投票したのは約5割程度だったと推測されている。トランプ氏が2020年大統領選で白人福音派の8割の票を獲得したのと比べると、圧倒的に少ないことが分かる)。
大統領に就任したカーター氏は実際には自らの福音主義の信仰をプライベートな問題と捉え、政策に直結させることを控えた。むしろ同氏の政策はフェミニズムや同性愛の擁護などリベラル寄りのものも多く、そのため保守系のキリスト教徒たちは彼の姿勢を「世俗的ヒューマニズム」として非難するようになっていく。このようにカーター氏の政策に失望した勢力がいわゆる「宗教右派」を形成し、4年後の1980年大統領選ではロナルド・レーガンの強烈な支持基盤となっていく。
カーター氏は大統領職を退いた後は、南部バプテスト連盟の教会を離れ、いわゆる「宗教右派」のイデオロギーからも距離を取り続けていく。ただしそれ以降も自らを「福音派」と公言し続け、神との関係性、信仰の重要性について著述・講演を通して語り続けてきた。2018年の著書『信仰』では、「イエスが神の子であることを私は確信している」と述べている。
(翻訳協力=木村 智)