ハマスによる攻撃から1年でWCCが呼び掛け 「平和のために祈り行動しよう」 2024年10月12日
ハマスによるイスラエル南部への攻撃から1年が経過したことを受け、世界教会協議会(WCC)のジェリー・ピレイ総幹事は10月7日、WCCの全加盟教会およびパートナー、信仰と善意を持つすべての人々に、聖地における平和のために祈り、行動するよう呼びかけた。
「2023年の今日、ハマスはイスラエル南部に対して残忍な攻撃を開始し、それがこの地域における1年間にわたる紛争の激化と拡大の引き金となった。この攻撃中には、国際法と道徳の最も基本的な原則を完全に無視した数々の残虐行為が犯された」
しかしピレイ氏は、イスラエルによるガザ地区へのその後の戦争の規模は衝撃的であり、到底受け入れられるものではないと述べた。「罪のない民間人に対する侵害と苦痛は指数関数的に増大し、4万1700人以上が死亡(うち1万6000人以上が子ども)し、さらに10万人近くが負傷、1万人以上が行方不明となり瓦礫の下敷きになっていると推定される、とパレスチナ自治政府の保健当局が伝えている」
「ガザ地区の人口の90%にあたる約190万人が、強制的に家を追われ、そのうちの多くは何度も家を追われている。また、約50万人が深刻な食糧不足に直面しており、ガザ地区の重要なインフラ、医療・教育サービス、住宅、経済、農地、漁船団はほぼ壊滅的な打撃を受けている」
この期間、占領下のヨルダン川西岸地区および東エルサレムのパレスチナ人コミュニティに対する、違法入植者およびイスラエル治安部隊による暴力的攻撃やその他の侵害が急増しているとピレイ氏は指摘。
「イスラエルのガザ地区に対する戦争および近隣諸国の主権に対する侵害は、より広範な地域における緊張を大幅に高め、複数の戦線における軍事的対立の激化、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派との銃撃戦の激化、そして初めてイランとの直接対立をもたらした。イスラエルのレバノン南部への地上侵攻、イランとイスラエル間のミサイル攻撃やその他の敵対行為は、今やさらに広範囲にわたる紛争の脅威となり、中東全域を燃え上がらせ、世界平和と安定に対する既存の脅威をさらに深刻化させている」
2023年10月7日の攻撃から1年が経過した今、イスラエルとその敵対国は、致命的な暴力のスパイラルに陥っているように見えると続け、「中東の現代史が明確に教える教訓があるとすれば、それは武力紛争と占領、弾圧の繰り返しによる持続可能な平和への道はなく、あらゆる側面で敵対心、憎悪、過激主義を増大させるだけ」「唯一の解決策は、暴力の連鎖を断ち切り、さらなる殺戮と破壊を控え、正義と万人の平等な権利に基づく平和のための対話と交渉を行うこと」と加えた。
さらに、すべての戦線における停戦を求めるWCCの呼びかけを強調。「ハマスは、残るすべての人質をただちに無条件で解放しなければならない。イスラエルはパレスチナ人の政治犯を釈放し、1967年以来占領している領土におけるパレスチナ人への占領と弾圧を速やかに終結させ、その領土内のすべての人々に対して、人種、宗教、出自に関係なく、平等な人権を保証しなければならない。そして、国際社会のすべてのメンバーは、この地域において紛争、占領、弾圧を継続することへの加担をやめなければならない」
(翻訳協力=中山信之)
写真=Albin Hillert/WCC