アメリカ系ユダヤ人の中で「ナクバ」認識する人増加 2025年5月22日

 世界中のパレスチナ人は毎年5月15日、1948年のイスラエル建国時に多数のパレスチナ人が追放された「ナクバ(大惨事)」を悼むための時間を設ける。ガザでの19カ月間に及ぶ軍事作戦が続く中、一部のアメリカ系ユダヤ人が77年前に始まったこの平和攻勢記念式典に参加している。「レリジョン・ニュース・サービス」が報じた。

 多くのアメリカ系ユダヤ人は5月15日、エルサレムで平和戦闘員団体「Combatants for Peace」が開催する「ナクバ追悼式典」のライブストリームを視聴した。他のアメリカ系ユダヤ人は14日、議会で唯一のパレスチナ系アメリカ人議員であるラシダ・トライブ下院議員が、アメリカがナクバを正式に認めるよう求める決議案を再提出した際、彼女に加勢した。

 トライブ氏の決議案は、ナクバの事実に関する教育と一般の理解を促進する内容で、「If Not Now」(今でなければいつやるの)ユダヤ人平和を求める声というグループ、停戦を求めるラビたちを含むユダヤ人の六つの団体から支持された。

 ナクバ記念行事への参加はアメリカ・ユダヤ人コミュニティで広く普及していないものの、注目度が高まっている。より多くのユダヤ人が、イスラエル建国と同時期に起きた約70万人のパレスチナ人の大量追放について学び、これを重要な出来事として記念し、悲しむべきものだと考えるようになっている。

 「ユダヤ人として、私たちの伝統の多くは記憶に焦点を当てている。だからこそ、公正な未来を築く希望を持つなら、歴史と現在の現実の両方に向き合うことがより重要になるのです」と、イスラエル占領に反対するユダヤ人団体「If Not Now」の広報、エヴァ・ボルグワルト氏は述べた。

「Combatants for Peace」(平和のための戦闘員)は、イスラエル人とパレスチナ人で構成される19年の歴史を持つ非営利団体で、非暴力と占領の終結を掲げている。6年前、同団体は世界中に生中継されるパレスチナ人とイスラエル人の合同追悼式典を毎年開催し始めた。今年の共催団体59団体には、ニューヨーク、ボストン、シカゴの米国シナゴーグに加え、「T’ruah:The Rabbinic Call to Human Rights」(人権へのラビーユダヤ教祭司-の叫び)も含まれていた。米国の教会やキリスト教系非営利団体も共催団体として参加した。

 今年の式典「故郷を守り、希望を守る」は、ベツレヘムの郊外にあるパレスチナ系キリスト教の町ベイト・ジャラの屋外広場で開催された。少なくとも1300人がオンラインで生中継を視聴した。「ナクバは単なる歴史的事件ではありません」と、「Combatants for Peace」の共同ディレクター、ラナ・サルマン氏は15日、イスラエルの新聞『ハアレツ』の論説で書いた。「それは現在進行中の現実です」

 15日、イスラエル軍の空爆によりガザ地区で数十人が死亡した。ガザの保健省によると、この紛争で死亡した人はほぼ5万3000人に上る。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ハマスが2023年10月7日のイスラエルで1200人の死者を出した攻撃で捕虜にした残りの人質を解放しない限り、地上侵攻を含む重大なをしている。

 ナクバはイスラエルで正式に認められておらず、公の議論から消し去る努力が続いている。今週だけでイスラエルの閣僚から、キャンパス内でナクバ記念行事が行われたことを理由に、エルサレムのヘブライ大学とテルアビブ大学への資金提供を停止するよう求める声が上がった。

 米国では、ラビの人権団体T’ruahが数年間、このイベントの共催を続けている。「私たちの役割は、唯一の未来は共有された未来であることを認識することです」と、T’ruahのイスラエルキャンペーンと教育担当副ディレクター、ジェナ・ショーラビ氏は述べた。「その未来を築く唯一の方法は、この極めて痛ましい歴史を認めることです。そして、そうすることで、私たちは聴き、証言しなければなりません。特にユダヤ人として」

 「ナクバの日」という用語は、1998年に当時のパレスチナ指導者ヤセル・アラファトによって考案された。これは、1948年5月14日ごろのイスラエル国防軍の前身であるイスラエル民兵が、新国家にユダヤ人多数派を確保するためパレスチナ人を追放し殺害した事件を指す。大多数のパレスチナ人は、ガザ地区、占領下の西岸地区、および近隣のアラブ諸国で最終的には無国籍の難民となった。

 現在、多くの人がガザと西岸で最初の追放が繰り返されることを恐れている。トライブ氏の決議案は下院で採決されなかったが、「パレスチナ人民の継続するナクバ」を非難している。

 「かつてないほど明白に感じることだが、イスラエル当局が1948年のナクバを超える追放と虐殺の軍事行動を実施している今、この歴史と現実と向き合わなければ、パレスチナ人、ユダヤ人、世界中の人々が真の自由を享受する未来をどう望めるでしょうか」とボルグワルト氏は述べた。

(翻訳協力=中山信之)

UnsplashJeremiah Amayaが撮影した写真

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