「科学を再び軍事動員させるな」 学術会議法人化法に改革派、日基教団京都教区が抗議 2025年6月17日

日本学術会議を「国の特別の機関」から特殊法人に移行させる法律が6月11日の参院本会議で可決、成立したことを受けて、日本キリスト改革派教会大会宣教と社会問題に関する委員会(弓矢健児委員長)は同日、抗議声明を発出。「本法は、日本学術会議の独立性・自律性を損ない、戦争協力への反省から生まれた『学問の平和利用』という学術会議の根本理念を否定し、科学・学術を再び軍事動員させていくことが強く懸念される」と表明した。
声明は、同法には「政府が学術会議の運営に介入する仕組みが複数設けられており、政府や財界など外部団体の影響を強く受けるようになり、学術会議のナショナルアカデミーとしての独立性・自律性が大きく損なわれ」るとし、同法の目的が「学術会議の独立性を弱体化させることによって、大学や研究機関における軍事研究を推進し、科学・学術を軍事動員させるためであることは明らか」だと主張。2020年の菅内閣による任命拒否問題を放置し、政府主導で一方的に特殊法人化を進めたことは決して許されないと訴えた。
その上で、「今政府に求められていることは、本法によって軍事目的の科学研究を推進させることではなく、科学の平和利用を通して、人類の福祉に貢献すること」だと強調した。
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同法成立前の5月17日には、日本基督教団京都教区第89回定期総会(横田明典総会議長)も「日本学術会議の自主性・独立性・自立性を危うくし、『科学研究の軍事転用』を容易にしかねない『日本学術会議法案』の廃案を強く求める声明」を発出していた。
声明は、日本学術会議の組織改編議論の元となった2020年の菅義偉元首相による「任命拒否問題」の任命拒否理由の開示をあらためて要求。日本学術会議を法人化することの内実に、政府が日本学術会議の運営・人事に介入できる仕組みが組み込まれていることを危惧し、独立が担保されないことに抗議した。その上で、「科学研究の軍事転用」を容易にしやすくするような法案の成立は看過できないとし、「むしろ科学・研究は、武器の製造・開発、軍事利用のためではなく、土を耕し、いのちを生かし、人間と環境のより良い共生のために用いるべき」と主張。科学者が戦争の反省の上に「平和的復興並びに人類社会の福祉への貢献、学術の進歩への寄与を誓って」歩んでいる現在の日本学術会議を支持した。