教会の罪の歴史を悔い改める JEAが戦後80年声明 2025年6月17日 

 日本福音同盟(JEA、水口功理事長)は6月4日、第40回総会において「戦後80年にあたってのJEA声明」を採択した。

 JEAはこれまで戦後50年、60年、70年の節目に声明を発表してきた。今回の声明では、戦後80年を迎え、日本の教会の罪の歴史と悔い改めを確認し、祈りと行動を次世代に継承するため、「聖書を誤りなき神のみことばと信じる聖書信仰に立って、現代的な諸問題を神学し、キリストにある一体性を現実のものとして行くために最善を尽くします」「戦争の記憶が薄れていく中で、戦時下における日本の教会の罪の歴史を学び、悔い改めを深めつつ、国が偶像礼拝の罪に陥らないように警告し、イエス・キリストだけを主とする信仰に生きます」「『政教分離』の原則が守られるように為政者のためにとりなす祈りを続けます」との決意を表明。来る10年を覚え、「神を愛し、隣人の苦しみに無関心になることから守られるように」祈りの言葉で結んだ。

 声明の全文は以下の通り。


戦後80年にあたってのJEA声明

 私たち日本福音同盟(以下JEA)は、戦後80年を迎え、平和をつくる者として、以下のように声明します。

1.30年のふり返り(立ち位置の確認)

 私たちJEAは、1995年の「戦後50年にあたってのJEA声明」(以下「戦後50年声明」)以来、戦後60年、戦後70年の節目に声明を発表してきました。

 「戦後50年声明」では、日本の教会が、十五年戦争の間、国民儀礼・神社参拝という偶像崇拝の罪を自ら犯すとともに、近隣アジア諸国の教会に対してもそれを強要し、侵略に加担したことを神の御前に悔い改め、近隣アジア諸国への謝罪を表明し、赦しを求めました。その上で、私たちが将来の日本と世界に対する宣教の使命を新たな思いで果たすべく前進すること、また、そのために「聖書はすべて誤りなき神のことばであり、信仰と生活の唯一絶対の規範である」という信仰に立って主に再献身することを誓いました。

 2005年「戦後60年声明」では、第4回日本伝道会議で採択された「沖縄宣言」を踏まえ、私たちの無関心と知ろうとしない罪を悔い改めました。そして「戦争の根源である憎しみ、差別、偏見、敵対心などの罪から解き放ち、隣人愛で満たしてください。21世紀を真に平和の世紀とするために、平和の君、歴史の主なるキリストを日々仰ぎ、今、ここでも、和解の福音を実現する者と私たちをならせてください」と祈りを合わせました。

 さらに2015年「戦後70年声明」では、戦時下における日本の教会の罪の歴史とその悔い改めを次世代に伝えることを表明し、また聖書信仰に立つアジアと世界の諸教会と協力すること、諸外国との和解を妨げている課題に取り組むこと、小さくされた人々と共に立つこと、平和をつくり出すものとなることを表明しました。

2.現状

 この間、天皇の退位及び即位に際して行われる諸行事は、日本国憲法が保障する信教の自由及び政教分離原則に重大な疑義が投じられるものでした。特に大嘗祭は、新天皇が天照大神を迎え寝食を共にして、天皇霊を受けて神になるとされる宗教儀式でした。それらについて、「平成の大嘗祭」のときには、教会内にもかなり広範な反対運動・署名運動が見られましたが、「令和の大嘗祭」では一部の動きにとどまりました。この背景には、天皇制に対する受け止め方が変遷してきた面があると共に、「戦後70年声明」で採択された「伝える責任・受け取る責任」を十分に果たせなかったことを痛感します。

 私たちは「戦後60年声明」において、日本復帰後も米軍基地の75パーセントを沖縄に押し付け続けていることなどについて、無関心であったことを告白し、悔い改めの表明をしました。しかし、その後20年、宣言した課題に真摯に取り組んできたとは言い難く、解決の困難さのゆえに日米安保の危険の大半を沖縄が負担し続ける現状を変えることはできませんでした。東日本大震災での福島第一原発事故では、犠牲のシステムが戦前と変わらずに継続され、構造化している現実が明らかになりながらも、未来のための抜本的改革ができていません。

 集団的自衛権行使容認に関する閣議決定(2014年)、安全保障関連法案の採決(2015年)、共謀罪法の成立(2017年)、安保関連三文書の改訂(2022年)、防衛費の増額(2023年以降)など、戦後日本の武力に拠らない平和構築が激変しています。

3.戦後80年の決意

 戦後80年を迎え、日本の教会の罪の歴史と悔い改めを確認し、祈りと行動を次世代に継承するため、私たちはここに表明します。

 私たちは聖書を誤りなき神のみことばと信じる聖書信仰に立って、現代的な諸問題を神学し、キリストにある一体性を現実のものとして行くために最善を尽くします。戦争の記憶が薄れていく中で、戦時下における日本の教会の罪の歴史を学び、悔い改めを深めつつ、国が偶像礼拝の罪に陥らないように警告し、イエス・キリストだけを主とする信仰に生きます。「政教分離」の原則が守られるように為政者のためにとりなす祈りを続けます。

 私たちはキリストの十字架の下に悔い改めの実が結ばれていくことを祈りつつ、次のことを願います。

(一)神を愛し、隣人を愛すること
(二)過去の罪を伝える責任を誠実に果たすこと
(三)過去に罪を犯した根本原因を聖書に基づき再確認し、信仰と生活の遊離を繰り返さないこと
(四)戦時中と類似性をもつ事態を見抜くこと
(五)世界及びアジアの諸教会とともに平和をつくること
(六)無関心でいないこと
(七)苦しむ者たちと共に苦しむこと
(八)勇気をもって声を発し、行動すること
(九)忠実に祈ること
(十)希望をもって主なる神を信じること

4.祈り

 私たちは心を合わせて祈ります。

 天地万物を造られ、今も統べ治めたもう神よ。唯一の神である主よ。

 戦後80年を迎えたこの年に祈ります。どうか私たちが、あなたのみを神とすることができますように。あなた以外の偽りの神々を私たちが霊の目をもって見分けることができますように。

 節目毎に私たちは自らを省みてまいりましたが、その歩みは誠に不十分でした。伝えること、受けとること、協力しあうこと、平和をつくること、関心を持ち続けること、ともに苦しむこと、勇気をもつこと、祈ること、希望をもってあなたを信ずることを怠りました。神を愛し、人を愛することに未だに疎い私たちです。それらに取り組む意思をお与えください。

 平和の君なるイエス・キリストよ。

 今、この時代に祈ります。私たち人間の犯す争い、破壊、混乱をお赦しください。主の平和が一日も早く世界の隅々にまで実現しますように。私たちを平和の器として用いてください。自己中心の罪に気づかせ、他者と共に生きる勇気を教えてください。「神のしもべ」である為政者たちのために祈り続ける忍耐力を与えてください。

 聖霊なる神よ。

 来る10年を覚えて祈ります。隣人の苦しみに無関心な私たちの現状をご覧くださり、石のような頑なな心を取り除き、人々の痛みを我が痛みとする者へと作り変えてくださいますように。そのようにして神を愛し、隣人の苦しみに無関心になることから守られるように私たちを導いてください。そして神を愛し、人々を愛し、平和をつくり、福音を証する神の民としての歩みを、私たちに誠実に、勇ましく、速やかに真心もって、なさしめてくださいますように。

 主よ、弱き私たちを憐れんでください。アーメン。

2025年6月4日(水)
日本福音同盟第40回総会
日本福音同盟理事長 水口 功

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