WCC中央委〝苦難の中で希望を〟 議長「最も重要な要素の一つは一致」 2025年7月1日

 世界情勢が刻一刻と変動する中、WCC中央委員会が6月18日、南アフリカのヨハネスブルクで24日まで開催された。開会の祈りでは、アフリカ・メソジスト監督教会のジェニファー・S・リース氏が「愛する勇気」と題する説教で、不正義、紛争、苦しみに満ちた世界においても、信仰を持つ人々がどのようにして愛する勇気を持つことができるかを探求。「私たちには敵がいる。私たちは彼らを愛さなければならない。しかし、彼らは私たちのこの働きを阻むことも、別の目的を決めることもできない。結局のところ、彼らは私たちよりも強力ではない」と述べ、信仰に支えられた勇気こそが今こそ求められていると訴えた。

 全アフリカ教会協議会(AACC)のフィドン・ムウォンベキ総幹事は、WCC理事会で歓迎のあいさつを述べ、キリストの愛が私たちを完成させる多くの行為について思いを巡らせた。「キリストの愛は、私たちを平和のために働くように、私たちを神の創られた世界の忠実な管理者とするよう駆り立てる」

 南アフリカ教会会議(SACC)のムズワンディル・モロ総幹事は、WCC中央委員会のメンバーがアフリカを自分たちの故郷と考えてくれることを期待すると述べた。

 中央委員会への報告の中で、WCC総幹事のジェリー・ピレイ氏=写真=は、苦難と苦痛の中で希望を見出す勇気について省みた。「ここは私にとって故郷であり、数々の困難を抱えながらも、この美しい国を誇りに思っている」として、宗教指導者と地域団体がアパルトヘイト体制との闘いにおいて団結したことを指摘。「こうした結束が、アパルトヘイトを終わらせるための力、エネルギー、そして決意を与えてくれた」と述べ、「教会は、アパルトヘイト体制に対決する連帯、支援、そして行動のために、国際社会と連携することができた」と回顧した上で、正義、和解、そして一致の巡礼に関連するWCCの活動とプログラムの概要を説明し、人間の残酷さ、貪欲さ、愚かさ、そして無関心という暗雲の背後を見据えるよう促した。

 「キリスト教徒は希望の民であり、エキュメニカル運動は希望の対抗文化運動。神への信仰を通して得られる希望に鼓舞され、私たちは不正の中に正義を、残酷さの中に思いやりを、免責の中に説明責任を、無分別な消費の中に責任を、そして最も残忍な暴力の中に平和を求める」

 事実、私たちは非常に困難な時代に生きているとピレイ氏。「WCCが平和と希望のメッセージを宣べ伝え続けることは不可欠。実に、イエスは私たちの平和と希望。これは単なるメッセージではなく、私たちが世界に提供できる贈り物」

 中央委員会議長のハインリッヒ・ベドフォルト=シュトローム氏は報告書の中で、劇的に増加する苦しみと暴力に見舞われた世界において、どのように希望を分かち合うべきかについて言及し、「特定の暴力的な紛争だけが深刻な懸念を引き起こし続けているわけではない。世界秩序全体が揺らいでいる」との危惧を表明。第12回WCC総会までの中央委員会としての残り5年間の任期が、教会にとって歴史上特別な瞬間となるという。「私たちが必要とする最も重要な要素の一つは、一致」とした上で、残念ながら教会は解決策の一部となるどころか、あまりにも頻繁に問題の一部となってきたと指摘し、「私たちは祈り、正義を行い、神の時を待つよう召されている」と述べ、「もし私たちの祈りが本当に心からの祈りであるならば、それは正義を行い、正義を擁護する中で現れる。神の時を待つということは、この世界が暗い穴に向かって進んでいないことを信じること」と加えた。

(エキュメニカル・ニュース・ジャパン)

写真=Albin Hillert/WCC

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