WCC パレスチナとイスラエルの危機めぐり「深い嘆きと憤り」を表明 2025年7月11日

世界教会協議会(WCC)は6月18日から24日、南アフリカのヨハネスブルグで開催された中央委員会でパレスチナとイスラエルに関する声明を発表した。
WCCは、ユダヤ人全体とイスラエル政府の行動を区別し、反ユダヤ主義や人種差別に断固反対する立場を再確認する一方、ガザの人々が直面する苦しみや、西岸・東エルサレムにおける暴力・抑圧の激化に対し、国際法に基づく正義の実現を強く訴えた。声明では、イスラエル政府の軍事作戦がジェノサイドや重大な戦争犯罪に該当する可能性を示唆し、違法な入植や人権侵害も国際法違反であると指摘。アパルトヘイトの非難、制裁・投資撤退・武器禁輸の実施、パレスチナ人の自由と自決権の擁護、ガザ封鎖の解除、そしてキリスト教パレスチナ人コミュニティの支援を呼びかけている。また、国際司法裁判所(ICJ)を通じた正義の追求を支持し、世界中の教会に対して今こそ声を上げ、行動すべき時であると促した。
声明の全文は以下の通り。
「正義を洪水のように 恵みの業を大河のように 尽きることなく流れさせよ。」アモス書5章24節
世界教会協議会(WCC)は2025年6月18日から24日、南アフリカのヨハネスブルクで中央委員会を開催し、パレスチナとイスラエルの危機が最も基本的な倫理に違反するだけでなく、国際人道法、国際人権法に著しく違反するレベルに激化していることを深い嘆きと憤りを以て受け止めました。
WCCは、信仰における兄弟姉妹であるユダヤ人とイスラエル政府の行動との間に明確な違いがあることを認識し、反ユダヤ主義、アラブ人に対する人種差別、イスラム嫌悪を含むあらゆる種類の人種差別に対して断固として立ち向かうことを再確認します。しかしながら、現在ガザの人々にもたらされている耐え難い苦しみとヨルダン川西岸地区・東エルサレムにおける暴力と抑圧の激化は、国際法と倫理に基づく正義原則を明確かつ緊急に訴えることを世界中の教会に余儀なくするものです。
イスラエル政府のガザにおける軍事作戦は、ジェノサイドおよび/または国際刑事裁判所(ICC)のローマ規程に基づく他の犯罪を構成する可能性のある、ジュネーブ第4条約の重大な違反を伴うものです。同時に、被占領西岸地区と東エルサレムでは、暴力の激化、違法入植地の拡大、組織的な人権侵害が続いています。これらの行動は、国連憲章、ジュネーブ条約、国際人権条約、安全保障理事会および国連総会による数々の決議を含む国際的な法規範を無視するものです。
世界教会協議会は、宗教間の対話と協力、そして平和、正義、説明責任の枠組みとしての国際法に対する長年のコミットメントを確認します。
この精神に基づき、WCC中央委員会は以下を呼びかけます。
1.アパルトヘイトの現実を名指しする:私たちは、イスラエルがパレスチナの人々に押しつけたアパルトヘイトの制度を、国際法と道徳的良心に反するものとして認識し、非難します。
2.制裁と説明責任の実施:私たちは、国家、教会、国際機関に対し、対象を限定した制裁、投資撤退、武器禁輸を含む国際法違反に対する処分を課すよう求めます。戦争犯罪および人道に対する罪を調査する国際刑事裁判所と国連のメカニズムに全面的な支援が与えられなければなりません。
3.パレスチナ人の権利と自由の肯定:私たちは、パレスチナ人の自由、正義、帰還、自決の不可侵の人権を支持します。私たちは、占領の終結と、ガザに対する違法な封鎖の解除を要求します。
4.パレスチナのキリスト教会とコミュニティの回復力と証しを支援し、土地に留まり、自由に信仰を実践する彼らの権利を支持すること。
私たちは、国際司法裁判所(ICJ)を通じて正義と国際法に対する説明責任を求める南アフリカ政府のリーダーシップを称賛し、すべての国に対し、ICJの裁定を遵守するよう強く求めます。世界中の教会は、今こそ証人となることを、声を上げ、行動するよう呼びかけられているのです。
「義の実は、平和を実現する人たちによって、平和のうちに蒔かれるのです。」 ヤコブ書3章18節
写真=Albin Hillert/WCC