【異端・カルト110番】 クリスチャントゥデイ・根田訴訟 最高裁上告を棄却 「ダビデ牧師が再臨のキリスト」脱会者証言の認定 裁判記録に 2025年7月30日

自称キリスト教メディア「クリスチャントゥデイ(CT)」および関連組織「共同体」の脱会者らの証言ブログ「ダビデ牧師と共同体を考える会」の投稿記事をSNSでリンクを貼って拡散した行為が名誉毀損に当たるとして、CTが本紙編集顧問の根田祥一氏に110万円の損害賠償を求めた民事訴訟で、最高裁第二小法廷(尾島明裁判長)は7月18日付で根田氏の上告を棄却することを決定し、22日通知した。東京高裁判決の66万円の賠償が確定する。
本件で一審の東京地裁判決は、CTと関連組織(共同体)において張牧師を「再臨のキリスト」と信じさせられたメンバーらが、峯野牧師に秘して淀橋教会に行った(一部は所属した)ことを事実認定した。しかし、二審の東京高裁判決は、平成16(2004)年ないし平成17(2005)年頃に元信者の2人の証人が経験した事実を認定したものの、証人らが脱会後の2019年に開設されたブログ「ダビデ牧師と共同体を考える会」において、脱会者らが証言した時期にこの事実を推認することはできないとして、名誉毀損に当たると判示した。
これに対して、根田氏は上告審に、「相手方(CT)の張在亨との関わり、共同体メンバーによる無償労働等の問題とされる行為につき過去の時点において認めたにもかかわらず、本件各投稿時において真実性を認めなかった点は、経験則に違反し、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反がある」などと主張。また、米国の「共同体」関連組織において、詐欺、マネーロンダリング、労働者人身取引、無償労働、留学ビザ詐欺などの犯罪行為が多数問題化していることも指摘し、詐欺行為の証明はないとした判決の誤りを正していた。
最高裁第二小法廷は、民事事件について上告が許されるのは民訴法312条所定の場合(1.憲法解釈の誤り 2.法令違反)に限られ、本件はそれらに該当しないとして退けた。
根田氏は、「最高裁のハードルが高いことはわかっていたが、上告申立てをすることにより最大限に証拠を提出して、CTが隠蔽してきた欺瞞を裁判資料に残すことができた」としている。救世軍の山谷真少佐(牧師)に損害賠償を求めた訴訟(2008~2013)においては、張在亨(ジャン・ジェヒョン)氏が過去に統一協会(現・世界平和統一家庭連合)の幹部であったこと、CTが張氏の企業や教会など多くの関連組織の一部であること、東京ソフィア教会では正統的なキリスト教では異端とされる「再臨のキリスト」に関する教えがなされていたことなどが認定されたが、それが張在亨氏であることまでは証明されていなかった。しかし根田訴訟では、CTおよび共同体の構成員らが、張牧師を「再臨のキリスト」と信じさせられていた事実が認定され、秘匿されてきた実態の解明が進んだ。韓国人宣教師の不法入国にCTが加担した事実も認定された。
なおCTは、上告直後の昨年暮れ、別件で「CTの母体は破壊的カルト」などとしたツイッター上の投稿をリツイートしたことは社会的評価を低下させるとして、根田氏を相手取り、さらに110万円の損害賠償を求めて提訴しており、東京地裁で継続中。
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