【地方からの挑戦~コレカラの信徒への手紙】 「隔ての壁を打ち壊し」 新井健二 2025年8月1日

 たいへん光栄なことに、私は昨年9月にも、本欄「地方からの挑戦――コレカラの信徒への手紙」に寄稿する機会を与えられ、そこではそれぞれ「キリストの目は、周辺に」「『ナルニア』のような教会を目指して」「いざや楽しきまどいせん」と題して、前任地である友愛キリスト教会での働きの中から、一般に「田舎」と呼ばれる地方における牧会伝道に対する私の思いと実践を分かち合わせていただきました。

 その上で、この1年弱の間に私の働きと人生には、不思議な主の導きによって大きな転機が与えられました。現在、私は前任地である人口約15万人を擁する岐阜県各務原市よりも、さらに「田舎」である人口約3万3千人の千葉県南房総市で家族と共に主に仕えています。住まいは私の実家であり、今年の3月までは老齢になる私の母親が1人で生活をしていましたが、今はそこに私と妻と娘の3人、さらに元は保護猫であった2匹の愛猫、グレイスとマーシー(名前は詩編23編6節から)が加わり、まずはその家族の中にキリストの愛が、日々、結実し続けるようにと真剣に祈り求めています。

 そして、そのような私の現在の境遇に思いを馳せる時、私の心には再び「キリストの目は、周辺に」注がれているのだという確信が満ちあふれてきました。

 つまり私は、キリストによって、前任地よりもさらに「周辺」へと遣わされ、そこで神と家族を含むすべての隣人に仕えるようにと招かれたのだと、心からの喜びをもって確信しています。

 ここからは現在の私の具体的な働きについて、少しご紹介をさせていただきたいと思います。

 第一に、私はこの地で、自給自活の伝道者として開拓伝道を始めました。そこでは、これまで私がそこから多くの恩恵を受けてきた教会の伝統に従い、「使徒信条」と「主の祈り」、また古き良き「賛美歌」や「詩篇の朗読」などを中心としたオーソドックスな礼拝を持っています。それは私が、キリストの教会の「いのち」とは、そのような古き良き単純な伝統を通して継承され、かつあふれ流れ出すものであると信じているからです。

 第二に、その礼拝やその他の集会を主に、X(旧Twitter)の「スペース(X上で音声を使ったリアルタイムの会話ができるサービス)」を通して、開拓以前からXでつながりのあった10人から20人ほどの人々と共にしています。いずれはZoomでの礼拝も行う予定ですが、奉仕者なども含め、まだ準備が整っていません。

 第三に、私はこの開拓教会を「ハイブリッドチャーチ『夜明けの教会』」と名づけました。この「ハイブリッド」という言葉には、単にリモートと対面の「組み合わせ」による活動という意味だけでなく、「ユダヤ人もギリシア人もなく、奴隷も自由人もなく、男も女もありません。あなたがたはみな、キリスト・イエスにあって一つだからです」(ガラテヤ人への手紙3章28節=新改訳2017)や「キリストは私たち二つのものを一つにし、ご自分の肉において、隔ての壁である敵意を打ち壊し、様々な規定から成る戒めの律法を廃棄されました」(エペソ人への手紙2章14~15節=同)という聖書の言葉が示す通り、キリストの教会とは本来的に、あらゆる異なった出自、性質、属性を持った人々の「混合(ハイブリッド)」による共同体であるという私の信仰告白が込められています。

 次回は、「夜明けの教会」という名前に込められた私の希望についても分かち合わせていただきたいと思います。

 あらい・けんじ 1977年千葉県生まれ。機能不全家族の中でアダルトチルドレンとして育つも、25歳で信仰に導かれる。友愛キリスト教会牧師を経て、現在開拓伝道中。社会福祉士、精神保健福祉士、LGBTQ+ ally。趣味は焚き火、映画鑑賞、読書は哲学書から漫画まで、音楽は洋楽・邦楽を問わずロックから演歌、クラシックまで幅広く。

【地方からの挑戦~コレカラの信徒への手紙】 「いざや楽しきまどいせん」 新井健二 2024年9月21日

UnsplashJakob Rubnerが撮影した写真

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