映画『長崎―閃光の影で―』バチカンで上映へ 生前の前教皇フランシスコも祝福 2025年8月15日

原爆投下直後の長崎を看護学生の視点から描いた映画『長崎―閃光の影で―』が、教皇レオ14世のもと、10月31日(現地時間)にバチカン内の上映室(フィルモテカ・バチカーナ)で上映されることになった。
長崎出身でカトリック信徒の松本准平監督は、今回の決定を受けて「誠に光栄に思います。暴力の絶えない現代世界の中で、被爆者であった祖父の想いに端を発したこの小さな映画が、特別な使命を帯び、『平和の道具』となり、ヒロシマ・ナガサキを伝えるきっかけの一つとして、広く世界中の人々の心に届くことを切に願います」とコメントしている。
本作は、日本カトリック司教協議会が初めて「推薦映画」に選出した。
今年4月に逝去した前教皇フランシスコは、2018年に原爆投下後の長崎で撮影された写真「焼き場に立つ少年」をカードにし、「戦争がもたらすもの」との言葉を添えて取材記者たちに配布。2019年の長崎訪問時には、この写真を撮影したカメラマンの子息であるタイグ・オダネルさんがフランシスコにあいさつした。本作では、「焼き場に立つ少年」をモチーフにした少年が、救護活動を続ける主人公の看護学生たちと出会うシーンも描かれている。

『長崎―閃光の影で―』の完成前のビジュアルを手に会話をする前教皇フランシスコ(右)と、カトリック大阪高松大司教区の酒井俊弘補佐司教 ©Vatican Media
今年1月下旬、バチカンの広間でフランシスコと対面したカトリック大阪高松大司教区の酒井俊弘補佐司教は、親交の深い松本准平監督から託された作品資料を手にあいさつ。本作について直接言葉を交わした酒井補佐司教は、当時のエピソードについて次のように紹介した。
「まず、『焼き場に立つ少年』の写真を見せて『教皇様、この写真を覚えておられますよね』と尋ねると、『はい、覚えているよ』とすぐにお答えくださった。続いて、映画『長崎―閃光の影で―』の宣伝チラシを見せながら、『「焼き場に立つ少年」の写真のエピソードも含む映画がもうすぐ完成し、今年の夏に公開される予定です。どうか多くの人がこの映画を観るように、祝福していただけませんか?』とお願いしたところ、教皇はチラシを祝福してくださった」
©2025「長崎―閃光の影で―」製作委員会