日本聖公会「いのちをみつめる祈りの集い」 10歳で聞いた玉音放送 〝聖書と憲法に守られて〟 2025年8月15日

日本聖公会正義と平和委員会憲法プロジェクトは8月15日、「いのちをみつめる祈りの集い――キリスト者である私が平和憲法にこだわる理由」をオンラインで開催した。この集いは、キリスト者がなぜ平和を祈り、行動するのかについて、教会につながるさまざまな関係者から話を聞き、共に語り合い、祈ろうというもの。
日本キリスト教協議会(NCC)議長の吉高叶氏を招いた5月の回に続き、今回は元TVドキュメンタリー番組ディレクターの寺本眞名氏(日本聖公会桃山基督教会信徒)が「信仰によって平和を知り、平和を手がかりに政治とむきあう――戦争を体験した者として伝えたいこと」と題して、80年前の混乱した敗戦当時の様子などを証言した。
寺本氏は10歳の時に、日本統治下の京城(現ソウル)で玉音放送を聞いた。8月15日を境に、独立を祝う朝鮮の人々が民族服を着て誇らしげに歩く一方、日本人は目立たないように外出を控えていたという。進駐軍の支配下で、親戚一同が共同生活をする中、汚れた軍服に身を包んだ日本兵3人が宿を求めて深夜に訪ねてきたこともあった。
本州への帰還命令が出て、家族で京都に引き揚げた後、街行く米兵や教会のシスターからもらったチョコレートの味も忘れられない。中学から同志社に入学した寺本氏は、戦中に受けてきた軍国主義の教育との違いに戸惑いつつも、民主主義を謳歌し、楽しい学校生活を送ることができた。
また、日本国憲法ができた当時、長男としての重圧に苦しんでいた父も喜んだと回顧。「新しくできた憲法は聖書と矛盾することなく、平和を願い、人々を平等に扱うことを求めている。80年もの間、人を殺し合う戦いがなく穏やかな毎日が送れることは神の守りと憲法のおかげ」と強調した。
講演の後に収録されたインタビュー動画も流され、約30人の参加者が耳を傾けた。大学卒業後、毎日放送でディレクターをしながら、憲法の条文に依拠しつつ女性の定年延長を求める運動にも携わった体験から寺本氏は、「せっかく与えられた権利を生かさないともったいない」と呼び掛けた。