英国初の女性カンタベリー大主教誕生へ サラ・ムラリー主教が第106代に任命 2025年10月4日

 英国首相官邸(ダウニング・ストリート)は10月3日、英国国王がロンドン主教のサラ・ムラリー氏を第106代カンタベリー大主教に任命することを承認したと発表した。来年3月にカンタベリー大聖堂で行われる着座式をもって正式に就任する予定。

 カンタベリー大主教職は、597年に聖オーガスティンがローマからケントに派遣されて以来、英国国教会の首席主教として続いてきた歴史ある座であり、ムラリー氏は長い伝統において初の女性大主教となる。

 ムラリー氏は、がん看護を専門とする看護師としてキャリアを積み、37歳の若さで英国政府のイングランド看護局長に就任。2001年に聖職に按手されてからは牧会と教会奉仕に歩みを転じ、2015年にエクセター教区クレディトン主教、18年にはロンドン主教に就任。ロンドン教区はカンタベリーに次ぐ重要な教区とされ、同職も歴史上初の女性として注目された。

 今回の任命にあたっては、カンタベリー大主教指名委員会(CNC)が祈りと議論を重ね、推薦を行った。委員会は英国教会総会やカンタベリー教区代表、さらに世界聖公会(アングリカン・コミュニオン)のメンバーら計17人で構成され、英情報局保安部(MI5)元長官のエヴァンズ卿が議長を務めた。

 カンタベリー大主教は、カンタベリー教区の教区主教であると同時に、イングランド全土の首座主教、さらに世界165カ国・約8500万人の信徒を擁するアングリカン・コミュニオンを代表する役割を担う。形式上は「同位者中の首位者」と位置付けられ、全世界の聖公会主教たちとの一致を促す重要な存在である。また英国議会上院(貴族院)においても、26人の聖職貴族院議員の一員として国政に関与する立場にある。

 任命を受けたムラリー氏は、10代のころに信仰を持った経験から一貫して抱いてきた「神と人への奉仕」の思いを語り、「看護師としても聖職者としても、人々に耳を傾け、希望と癒やしを共に見いだすことを学んできた」と述べた。そして「教会が福音への確信を深め、イエス・キリストに見出す愛を語り、その愛が行動を形作るように促したい」との抱負を表明。責務の重さを認めつつも、「神がこれまでも支えてくださったように、平安と信頼をもってこの務めに臨む」と強調した。

 CNC委員長のエヴァンズ卿は、「数千人の声を聴いた公開コンサルテーションを経ての結論であり、多くの人々の希望を反映している」とコメント。アングリカン・コミュニオン総主事のアンソニー・ポゴ主教も「一致を育む彼女の歩みに神が智慧を与えてくださるよう祈る」と歓迎の意を表した。

 英国教会において女性聖職の道が開かれたのは1994年、女性司祭の按手からであり、2015年には初の女性主教が誕生。以来わずか10年余りで、ついにカンタベリー大主教の座に女性が就くことにより、教会史における歴史的な転換点を迎える。

By Roger Harris - https://members-api.parliament.uk/api/Members/4696/Portrait?cropType=ThreeFourGallery: https://members.parliament.uk/member/4696/portrait, CC BY 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=86632351

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