エルサレムの総主教や教会指導者らは１０月１４日、ガザ紛争終結を振り返る声明を発表した。

　「この機会に、この偉業を成し遂げるために尽力された国際社会のすべての方々……の多大な勇気ある努力を認めたいと思います」

　声明は、ガザ地区のパレスチナ人、そして避難、死傷、飢餓、そして生計の喪失に苦しみ続ける他の社会に即時の救済を提供する大規模な人道支援活動への期待を表明している。

　「同時に、ヨルダン川西岸における入植地拡大に関連して、地域社会に対する暴力が増加していることを、私たちは引き続き深い懸念をもって見ています」と声明は述べている。

　「さらに、関係当事者と国際社会全体に対し、現在の交渉の範囲を拡大し、ガザ地区とヨルダン川西岸地区の占領終結を盛り込み、現在のイスラエル国家と平和的に共存するパレスチナ国家の樹立につなげるよう訴えます」

　エルサレムの総主教と教会指導者たちは、聖ポルフィリオス正教会と聖家族カトリック教会の信者、そしてアル・アハリ聖公会病院で奉仕する人々にも特別な励ましの言葉を送った。「過去２年間、計り知れない苦難の中で、皆様が信仰を貫き通されたことは、私たち皆にとって輝かしい模範となりました」「私たちは皆さんに引き続き祈りと支援を誓います。今後数週間、数ヶ月が、神の摂理への皆さんの信頼の証となるよう、精力的に取り組んでまいります」

　平和構築の取り組みは始まったばかりだと声明は締めくくっている。 「神が私たち全員に恵みを与え、この重要な任務に再び身を捧げさせてくださいますように。そして、古の預言者や賢者が長きにわたって思い描いてきた平和の黄金時代、主イエス・キリスト御自身がその時代のために自らの命を捧げ、墓を超えて新たな命へと甦られた時代へと私たちを導いてくださいますように」

　以下は、その声明（英語）の全文を「エキュメニカル・ニュース・ジャパン」が日本語に訳したもの。

２０２５年１０月１４日

　「地の果てまで、戦いをやめさせ／弓を砕き、槍を折り、戦車を焼き払われる。『静まれ、私こそが神であると知れ。国々に崇められ、全地において崇められる』（詩編 ４６編１０～１１節）

　戦争で荒廃したこの地域に住む何百万人もの人々と共に、私たちエルサレムの総主教や教会指導者たちは、ガザにおける停戦の成立と捕虜の解放の成功を心から喜ばしく思います。

　この機会に、この偉業を成し遂げるために尽力された国際社会のすべての方々、特にトランプ大統領の多大な勇気ある努力を認めたいと思います。昨日イスラエル国会（クネセト）で発表されたように、我々は停戦のこの第一段階がガザ紛争の終結を真に意味するものであり、当事者間の更なる意見の相違は、戦闘再開ではなく、交渉または和解によって解決されると信じています。実際、我々の地域全体が、そうでないことを考えるほど長い間苦難を経験してきました。

　この合意の発効を歓迎する一方で、ガザの人々やこの地域の他の社会が、数十万人もの人々が家、健康、家族、そして生計を失うなど、依然として苦難を抱えていることを認識しています。したがって、破壊された家屋、事業所、そして民間インフラの大規模な撤去と再建のためのプログラムを迅速に実施するための前兆として、ガザ地区および他の被災した社会への食料、清潔な水、燃料、医療物資、そして仮設住宅の迅速な支援を強く求めます。

　さらに、関係当事者と国際社会全体に対し、現在の交渉の範囲を拡大し、ガザ地区とヨルダン川西岸地区の占領終結を盛り込み、現在のイスラエル国家と平和的に共存するパレスチナ国家の樹立につなげるよう訴えます。こうして初めて、聖地と中東全域に、真に公正で永続的な平和が確立されると私たちは信じています。

　また、聖ポルフィリオス正教会と聖家族カトリック教会に集う皆様、そしてアル・アハリ聖公会病院で奉仕する皆様に、心から励ましの言葉を贈りたいと思います。過去２年間、計り知れない苦難の中で、皆様が信仰を貫き通されたことは、私たち皆にとって輝かしい模範となりました。私たちは皆さんに引き続き祈りと支援を誓います。今後数週間、数ヶ月が、神の摂理への皆さんの信頼の証となるよう、精力的に取り組んでまいります。

　平和構築の取り組みはまだ始まったばかりであることを自覚しつつも、この精神のもと、私たちは世界中のキリスト教徒の仲間や善意ある人々と共に、この幸先の良い瞬間に導いてくださった全能の神に感謝を捧げます。神が私たち全員に恵みを与え、この重要な任務に再び身を捧げさせてくださいますように。そして、古の預言者や賢者が長きにわたって思い描いてきた平和の黄金時代、主イエス・キリスト御自身がその時代のために自らの命を捧げ、墓を超えて新たな命へと甦られた時代へと私たちを導いてくださいますように。

――エルサレムにある諸教会の総主教および教会指導者たちより