外キ協 全国リレー集会 多文化共生の現場から問い直す 2025年11月6日

 外国人住民との共生を実現する広島キリスト者連絡協議会(広島外キ連)は10月19日、日本バプテスト連盟広島キリスト教会 (広島市中区)で、対面とオンラインとのハイブリッドによる「外国人住民基本法の制定を求める全国リレー集会2025」を開催した(カトリック広島教区正義と平和推進デスク、在日大韓基督教会西部地方会社会部、日本基督教団西中国教区広島西分区、広島YWCA協力)。外国人を管理・抑圧する「出入国管理及び難民認定法」の抜本的改正と「外国人住民基本法」の制定を求め、全国各地でさまざまなテーマで学び合うリレー形式の集会。

 この日は、外国人観光客や在留者が増加する一方、社会の分断や排外的な言動が顕在化している現状をめぐり、「分断と苦しみの時代を私たちはどう生きるのか」と題して金迅野氏(在日大韓基督教会横須賀教会牧師)が講演した。

 金氏は、日常の風景に潜む差別意識や「多文化共生」の形骸化に警鐘を鳴らし、キリスト教の視点から共に生きる社会のあり方を問いかけ、「外国人」を一括りにせず、同じ社会を生きる「隣人」として見る視点の必要性を語った。

 飲食店の「中国人お断り」の掲示、長年日本で暮らすクルド人が電車内で差別的言動を受けた事例などを挙げ、「社会の底が抜けつつある」と懸念を示した金氏。

 「多文化共生」という概念が注目された1990年代当初は、前向きな社会ビジョンとして受け入れられたが、その意味が政策言語として消費されていると指摘。さらにアメリカやオーストラリアでも多様性を巡る後退が見られ、日本の状況は国際的潮流の一部として理解されるべきだと述べた。

 また、SNS上で「気持ちの良い言説」が事実より先に共有されてしまう場の危うさにも言及。若い世代の音楽に表れる「自己責任」と「多様性尊重」のねじれを示し、社会全体が物語の喪失と孤立の中にあると語った。

 最後に、「隣人を自分のように愛しなさい」というキリストの教えを確認し、「まず自分自身を愛せなければ、他者にも寛容になれない」と語った。自己の弱さを受け入れることが、他者への憎悪を手放す第一歩となる。「共生」とは制度ではなく、私たち一人ひとりの態度の選択から始まると締めくくった。

 8月の関東、北海道を皮切りにスタートしたリレー集会は、11月も22日、24日、29日に開催を予定している。各回の申し込み、問い合わせは外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会(外キ協)のホームページ(https://gaikikyo.jp/)まで。

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