【緊急インタビュー】 揺れる日本キリスト教団出版局 キリスト教事業所連帯合同労働組合に聞く現状と展望 2025年12月25日

日本キリスト教団出版局(以下、出版局)が来年3月を目処に事業整理へ向かうとの方針が公にされて1カ月。その全容は未だ明らかになっていないが、現場の職員らは今後の出版活動をめぐり日々協議と模索を続けているという。キリスト教事業所連帯合同労働組合執行委員長で出版局職員の白田浩一さん、同組合執行副委員長で日本基督教団事務局の星山京子さんに話を聞いた。
――出版局の事業整理に至った経緯は?
白田 出版局の財政は2024年度末に債務超過に陥りました。これを受けるかたちで今年7月に行われた教団常議員会で突如、出版局の事業を整理し人件費を削減するとの話があり、その後、新しい会社を作って出版局の事業を移す話が急浮上しました。他の選択肢がないか交渉もしましたが、10月末の常議員会で正式に事業整理が決定されたというのが実状です。
――出版局の職員は現状をどう受け止めていますか?
白田 出版局の事業がどうなるか、担当している書籍や専門取次である日キ販(日本キリスト教書販売株式会社)そして専門書店の今後を憂慮しています。事業整理自体はやむを得ないと思いますが、さまざまな方面への影響を考慮せず、職員の意見も聞かずに結論が先行してしまったことに憤りと戸惑いを感じます。
――今後の出版局の事業はどうなりますか?
白田 『信徒の友』『こころの友』の今後については来月発行の2月号で発表される予定です。新刊の書籍刊行は来年3月末までとなります。ただ、新しい会社が行うことを想定している既存の書籍(教科書や讃美歌など)の販売や編集体制については、まだ12月初旬現在では正式に決まっていない部分がほとんどです。
――教団事務局と出版局の関係はどのようなものですか?
星山 両者の間には文化的な相違があり、互いにあまり興味を示さず干渉もしてきませんでした。歴史的に積み重なった確執もあり、互いのコミュニケーションが不足していたことは否めません。
――職員の雇用はどうなりますか?
星山 教団事務局に異動する人、新しい会社に就職する人もいる予定です。教団としては他の職員についても一緒に再就職先を探す方向で調整しています。
白田 労働組合としては正職員に対する退職金の上積みやアルバイトの方への退職慰労金の支給も求めています。出版局に限らず、日本のキリスト教界も全体的に縮小していかざるを得ない状況でしょう。いかに上手に縮小していくかということを考えなければなりません。出版局の事業整理が、「賢い縮小」を考えるきっかけになればと思います。
星山 少子高齢化といっても、教会数も信徒数も最も多い教団ですから可能性のある市場なはずです。実は掘り起こしていないだけで、ネタの宝庫。今は苦しいかもしれませんが、これを機に規模は縮小しつつも発展するような道筋が示せればと願っています。
――ありがとうございました。
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