第4回ローザンヌ世界宣教会議「ソウル声明」公開 世界に向け新たな神学的視点を提示 2025年12月18日

韓国・インチョンで2024年9月に開催された第4回ローザンヌ世界宣教会議で発表された「ソウル声明」の日本語版が12月18日、日本ローザンヌ委員会(バックホルツ美穂委員長)によって公開された。
ローザンヌ運動は1974年スイス・ローザンヌで始まった世界的宣教運動で、その節目ごとに世界の教会が共に宣教の課題と福音の本質を確認する重要な文書を公表してきた。今回の「ソウル声明」は初期のローザンヌ誓約(1974年)、マニラ宣言(1989年)、ケープタウン決意表明(2010年)に続く、四つ目の宣教文書となる。
同声明は、従来の三つの文書の確信と伝統を踏まえつつ、現代の世界教会が直面する課題や神学的なギャップに応答することを目指した文書としてまとめられており、教会が福音の中心性と聖書への忠実さを再確認することを出発点とし、教会、個人、社会、技術革新など多岐にわたるテーマへの対応を提起している。
声明の内容は七つの主要章に整理されており、福音と聖書理解から始まり、教会の交わり、弟子づくり、家族・諸民族への平和と奉仕、さらには急速に進展するテクノロジーとの関わりにまで視野が広げられている。これにより、グローバル化、価値観の多様化、AIやデジタル社会の進展といった現代的課題に対し、福音的信仰に基づく神学的洞察を開示すると同時に、教会と宣教運動が目指すべき方向性を提示している。
解説によれば、「ソウル声明」は単独の宣言ではなく、先行文書を補完し、第4回会議の議論とその後の実践を導くための神学的・戦略的ツールとして設計されているという。会議参加者や世界の教会が、会議期間中だけでなく今後の宣教協力においても用いることを意図している。
声明策定にあたっては、2019年から神学作業部会が準備を進め、世界各地の多様な教会背景を代表する神学者・リーダーが関与してきた。ただし、文書が会議の開幕と同時に公開されたことや、内容の一部に対する賛否が参加者の間で議論を呼んだことも報じられ、これまでのローザンヌ運動に共通した「参加的プロセス」との関係について多くの反省と対話が続いている。
日本語版公開を受け、国内でも教会において、福音の本質、宣教の優先順位、現代社会に対する教会の関与のあり方についての議論されることが期待されており、日本ローザンヌ委員会は、「必ずしも公式見解を表すものではないが、先進課題についてディスカッションのヒントとして用いられることを願う」としている。
「ソウル声明」日本語版は、以下の公式サイト(https://lausanne.org/ja/statement/%E3%82%BD%E3%82%A6%E3%83%AB%E5%A3%B0%E6%98%8E)から全文の閲覧が可能。

















