【映画短評】 80年代の東京に浸る62分 『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』4K レストア版 2026年1月16日

1984年5月、当時32歳だった坂本龍一を通して東京の音(Tokyo Melody)を聞く。駅員が切符を切る改札、代々木公園で踊る竹の子族、祭囃子、パチンコ、新宿アルタの巨大スクリーンなど、当時を知る者の郷愁を誘う。坂本が4枚目のソロアルバム『音楽図鑑』を制作していた頃でもある。そのレコーディング風景やインタビュー映像の間に、前年のYMOの「散解コンサート」や、坂本が出演した『戦場のメリークリスマス』、各種CMの映像なども挟まれる。
本作はフランスのテレビ放送用に作られた62分のドキュメンタリー。いくつかの国際映画祭で上映された以外、長らく人目に触れられてこなかった。それが今回、4kレストア版での上映となる。
坂本の音楽論が興味深い。当時すでに「(街中ではみんな)曲のはじまりから終わりまで素直に聞いていない」「どこを切り取っても必要を満たす音楽が作られる」と語っており、現代のようにポップソングが3分台に短縮されることを、80年代から予見していたようでもある。
当時主流だった5.25インチのフロッピーディスクを使いこなしながら、坂本は「テクノロジーは独り歩きして人間の想像を越える」とも語る。今まさに「AIの独り歩き」がはじまっていて、今後どうなるか全く予測できない。してみるとこの流れもまた、80年代からすでに予見されていたことになる。
(ライター 河島文成)
2026年1月16日(金)より全国順次公開。
『Tokyo Melody Ryuichi Sakamoto』4K レストア版
監督:エリザベス・レナード
出演:坂本龍一、矢野顕子、細野晴臣、高橋幸宏
制作会社:INA、KAB Amercia Inc.、KAB Inc.
配給:エイベックス・フィルムレーベルズ
公式サイト:https://tokyomelody.com/
©Elizabeth Lennard

















