【「親なきあと」をともに生きる~お寺と教会の〈語らい〉から始まる支援】 しゃべって、笑って、泣いて――多世代が交流する語らいカフェ 小迫孝乃 2026年1月21日

 「今日はカフェの日でしょ。私もお寺に行こうかな」

 片田舎のニュータウンに住む84歳の母から電話がありました。母にとって「お寺」は古くから地域にある信頼と安心の場所であり、この先もずっと存在し続けてくれる場所です。

 母はバスと電車を乗り継いでやって来ました。2人で「お寺と教会の親なきあと相談室」のあるお寺への道を歩きます。山門に小さなカフェの看板が見えました。長い坂道を登り切った所にお寺があります。

 お寺に着くと母は「介護者カフェ」の人が集うテーブルに行きます。私はお寺と教会の親なきあと相談室の小さなのぼりが置いてあるテーブルにつきます。

 私自身が障がいのある子どもの保護者ですが、ここに来るのは保護者や当事者だけはありません。子どもの不登校やひきこもりで悩む保護者も来られますし、支援者も来られます。

 私はここに通うようになり「親の悩みや不安に、子どもの障がいの有無は関係ない」と思うようになりました。心の中を吐き出したい人が来てくれたらいいと思います。もちろん必要な情報をお伝えすることもありますが、それ以前に、ここは人とつながることができる「場所」なのです。

 高齢のお母さんが障がいを持つ子どもといつか別れる日の不安を語ります。私は自分の未来を重ねながらお話を聞きます。そして今できることを一緒に考えます。

 また小さなお子さんをお持ちのお母さんは先が見えない苦しみをポツリポツリと語ります。私は昔の自分と重ねて、あの頃の私が一番してほしかったように、その言葉を受け取り寄り添います。

 カフェのある日には母のような高齢者や檀家さん、お子さんを連れたお母さん、SNSを見て遠方から来られる方もいれば、ご近所さんも来られます。地元の行政や事業所の方、薬局の方、学校の先生、お弁当屋さん、福祉ネイルの方、旅行社の方などなど、地域の内外で活動している方々が集っています。

 お寺の広い座敷では、それぞれのテーブルに行き来が可能です。あちこちで楽しそうなおしゃべりや笑い声が聞こえてきます。さながら「ごちゃまぜ」状態です。そして新たな人と人のつながりができていくのです。

カフェには高校生が訪れることもある=大阪府柏原市の安福寺

 このお寺が門を開けてくださったことから、介護者カフェがスタートし、お寺と教会の親なきあと相談室も始まりました。そこから顔なじみが集まり、新たなコミュニティーや企画も生まれています。その様子を見ていると、人との出会いは小さな奇跡であることを実感しています。

 お寺と教会の親なきあと相談室は、現在全国19カ所に支部があります。老若男女問わず、住む場所が遠いか近いかでなく、子どもに障がいがある人もない人も「ご縁」でつながった人たちが集う場所です。

 私は日本中の不安や悩みを持つ人が、自分の住むまちのお寺や教会を訪れることができたらいいなぁと思いながら、お寺への道を母と歩いています。

 もし悩んだ時、不安な時、誰かと話をしたい時、近くに私たちの相談室があったら、ぜひ足を運んでみてください。ご自身で確かめに来てください。そこにあなたの「居場所」が見つかるかもしれません。

 私はいつか出会う皆さんに「お待ちしております」とお伝えしたいです。

 こさこ・たかの 一般財団法人お寺と教会の親なきあと相談室アドバイザー。看護師。知的障がいのある子の母。大学院で「障がい者」と「地域社会」をテーマに研究した。2025年、第26回愛恵エッセイ賞一般の部で最優秀賞を受賞。

*問い合わせは同相談室(https://otera-oyanaki.com/)まで。

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