【映画短評】 アンドロイドの希望、あるいは絶望 『マーズ・エクスプレス』 2026年1月27日

人間とアンドロイドが共存する23世紀。火星に住む私立探偵アリーヌは、依頼を受けて行方不明の女子大学生を探す。相棒のカルロスはかつて人間だったアンドロイド。ただの人探しに思えた彼らの捜索は、しかし社会を揺るがす大変革につながっていく。
『マーズ・エクスプレス』はフランスのアニメーション界で活躍する、ジェレミー・ペランの長編監督デビュー作。『AKIRA』や『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』といった日本のSFアニメの影響を色濃く受けている。人間とアンドロイドの境界がきわめて曖昧になり、ゆえにアンドロイドが激しく差別される世界観はきわめてシビア。個人の正義は打ち砕かれ、巨大企業の意思が押し通される。絶対絶命の危機が奇跡的に回避されることもない。そのシビアさは結末に至るまで一貫している。
かつて人間だったカルロスの、アンドロイドであるがゆえの苦痛が印象的だ。彼には人間の家族がいるが、もはや一緒にいることは叶わない。かといって完全なアンドロイドでもない。アップデートもうまく行かない。そんな中途半端な存在としてのカルロスの苦悩が、結末の彼の選択に直結したのは想像に難くない。その結末をアンドロイドの希望と取るか、絶望と取るかは視聴者の解釈に委ねられる。
展開が早く、映像の情報量が多い点も日本のSFアニメに似ている。字幕を追う必要のない、吹き替え版での視聴を勧めたい一本だ。
(ライター 河島文成)
2026年1月30日(金)より ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開。
© Everybody on Deck - Je Suis Bien Content - EV.L prod - Plume Finance - France 3 Cinéma - Shine Conseils - Gebeka Films – Amopix
















