【信教の自由を守る日】 美濃ミッション事件から「迫害の文脈化」を 日本社会の同調圧力と天皇制 2026年2月11日

日本基督教団信濃町教会(東京都新宿区)で2月11日に開催された第60回「なくせ!建国記念の日 許すな!靖国国営化2・11東京集会」(同集会実行委員会主催、日本キリスト教協議会=NCC=靖国神社問題委員会後援)では、美濃ミッション代表の石黒イサク氏が「どこまで見抜けるか 迫害の文脈化――美濃ミッションの体験から」と題して講演した。
石黒氏は、戦争体験の語り継ぎが困難になっている現状を指摘した上で、「戦争を直接知らない世代が増える中、体験をつなぐ『パイプ役』としての責任がある」と語り、特に若い世代に歴史を学ぶ必要性を強調。自身は政治的な集会や署名運動などに参加するよりも、牧師として福音宣教に専念してきたと述べ、戦前に迫害を受けた美濃ミッションの歩みを紹介した。
講演では、宣教における「文脈化」の重要性に触れつつ、単に文化に適応するだけでなく、福音を妨げる社会的・思想的土壌を見極める必要があると指摘。使徒言行録における初代教会の迫害の歴史を引きつつ、「どの社会にも福音の受容を妨げる力が存在する」と述べ、日本においては同調圧力や権威への従属的傾向がその一因だと論じた。
さらに、日本社会の特徴として「全員一致」や「統合」を重んじる風潮を挙げ、その象徴としての天皇制が国民統合の装置として機能してきたと分析。明治期における国家体制の形成過程を批判的に振り返り、教育勅語や学校教育を通じて忠誠心が培われたと主張し、キリスト教界も国家体制との関係を十分に問い直さず、結果的に神社参拝や戦時体制への協力へと傾いた歴史があると述べ、教会の自己検証の必要性を訴えた。
美濃ミッションが受けた戦前の迫害については、神社祭礼や伊勢神宮参拝を拒否した子どもたちの事例を紹介。「たった一人の不参加でも『和を乱す存在』として排除される社会構造があった」とし、同調圧力の強さが迫害を生んだ背景だと説明し、こうした構造は現代にも通じており、「みんなと同じであることを求める空気の怖さ」について語った。
最後に石黒氏は、福音宣教は社会的立場の維持のためではなく、神の命令に従う営みであると強調。「歴史を直視し、背後にある思想や制度を見極めながら信仰を証しする必要がある」と訴えた。
参加者ら一同は講演後、集会の宣言文を採択。宣言文は先の解散総選挙について、「新年度予算の成立を放棄し、自己保身のため」強行したと非難。自民・維新の合意文書に盛り込まれた「国旗損壊罪」創設や「スパイ防止法」制定の動き、防衛費増額などにも言及し、軍事力ではなく対話による平和を求め、「ひとりびとりが大切にされ、平和に生きる」ことができる社会を目指し、声を上げ続けていくことを宣言した。














