ASEAN宗教間対話プログラムで来日 宗教の社会的役割を議論 参加した東ティモールの司祭が語る〝希望〟 2026年2月21日

国際交流基金(JF)は1月26日、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国から宗教の社会活動や政策に携わる次世代の学者、知識人、実務家ら10人を招き、宗教間対話をテーマとした8日間の訪日研修を実施した。東京、宮城での視察や意見交換を通じ、現代社会における宗教の役割や課題について知見を共有した。
国際交流基金は外務省所管の独立行政法人で、文化芸術交流、日本語教育、日本研究・国際対話の事業を通じて国際交流を推進している。この事業は、日本とASEAN諸国の次世代人材の育成やネットワーク構築を目的とした長期的プロジェクト「次世代共創パートナーシップ――文化のWA2.0」の中に位置づけられ、JF東南アジア・パートナーシップ(JFSEAP)の一環として行われたもの。
参加者は都内で日本の研究者や実務家とのラウンドテーブルに参加したほか、大塚モスクや明治神宮などの宗教施設、山谷地区を訪問し、地域における宗教の社会的関与を視察した。宮城県では東北大学での意見交換に加え、石巻モスクや洞源院などを訪れ、東日本大震災の際に宗教者や宗教施設が果たした役割について学んだ。
最終日の2月2日には、国際文化会館(東京都港区)で公開イベント「今、求められる宗教の役割とは――東南アジアの視点から」を開催。「地域社会の分断と宗教」「災害による分断と宗教」「若者の孤立と宗教」をテーマに三つのセッションが行われ、各国の宗教指導者や研究者が登壇した。
参加した中で唯一のキリスト教徒であるアントニオ・ケンサー・ド・バリーニョ・ド・カルモ氏(東ティモール・ディリ大司教区 カトリック教区司祭)に話を聞いた。

山谷の光照院を訪ねる宗教者ら(手前中央がアントニオ司祭)
――これまでに宗教間対話の経験はありましたか?
2、3年前に、東ティモールで宗教間対話の責任者を務めていました。「1000 Abrahamic Circles Project」という企画に参加し、イスラム教徒、ユダヤ教徒、キリスト教徒が3週間にわたる信仰の旅路を共にしました。インドネシア、ニューヨーク、ディリで1週間ずつ、それぞれの宗教の家庭で共同生活を行いました。
――今回の来日でどんな収穫を得られましたか?
今回、学んだことに基づいて帰国後にフォローアップできることを期待して参加しました。新しい知識を母国に持ち帰り、社会の境界線を打ち破りたいと思います。特に貧困問題への対処方法や、宗教がどのように困窮者を助けられるかを学びました。子どもたちへの教育と将来世代の強化にも取り組みたいと考えています。
――社会の分断や排除が広がる中で、宗教の役割をどう考えますか?
現代の先進国では政府や公的機関が宗教よりも大きな役割を果たしていますが、私の国ではカトリック教会が次世代の育成において重要な役割を担っています。200~300校のカトリック学校を通じて、単に宗教的な教育だけでなく、より人道的で人間らしい教育を提供すべきだと考えています。宗教は人生の生き方、人間の尊厳、倫理や道徳について教える役割を果たすべきです。
――高齢化で劣勢にある日本のキリスト教会に対してメッセージをお願いします。
少数派の0.5%でも生き残ることができます。昨日、カトリック教会のミサに参加しましたが、多くの人々であふれていました。カトリック教会では、昨年が「希望の聖年」でした。希望は嘘をつきません。聖パウロのローマの信徒への手紙5章5節に「希望はわたしたちを欺くことがありません」とあるように、希望を持ち続けることで、日本のキリスト教は生き残り、より生き生きとしていけると信じています。
――ありがとうございました。
(聞き手・松谷信司)














