サレジオ小・中の休校決定で波紋 保護者有志が「対話」求め署名活動 2026年3月25日

サレジオ修道会が来日100周年を迎えた2026年、東京都小平市にあるサレジオ小学校・中学校の休校決定を巡り、波紋が広がっている。保護者や卒業生有志で結成された「サレジオ小中を未来に繋げる会」は、運営母体である学校法人育英学院に対し、決定に至るプロセスなどの情報開示と対話を求め、署名活動を展開している。
事の発端は昨年8月30日。育英学院は臨時保護者会および公式ホームページにて、2032年3月をもって同校を休校(実質的な閉校)とすることを突如発表した。これに伴い、小学校は2026年度、中学校は2029年度の入学生を最後に募集を停止する。法人は休校の理由として「少子化」「経営難」ならびに施設設備等の「中長期的な課題」を挙げている。
しかし、保護者側は「休校判断の根拠となる具体的な数値や経営状況が開示されておらず、十分な説明がなされていない」と指摘。昨年9月に有志の会を発足し、今年1月9日には育英学院理事会宛てに3点を求める要望書を提出した。内容は「休校判断の根拠および経営状況に関する情報開示」「休校決定の見直し(白紙化または延期)」「在校生の教育環境の安定と継続の保証」である。同時に、同会は学校を再建するために何が必要か複数の視点から調査や有識者へのヒアリングを行っており、育英学院に対し具体策を提示したいという意向も伝えている。
これに対し、育英学院側は1月30日、学校連絡網を通じて理事長名での報告を配信。「説明会でお示しした方針を継続する」として、休校決定を維持する旨を通告した。また、卒業を前に休校となる場合の「条件付き入学」についても、東京都からの指導などを理由に導入を見送るとした。
同会はこれを「事実上の対話の拒絶」と受け止め、運営陣との対話の場を求める署名活動に踏み切った。
サレジオ小学校・中学校は戦災孤児の受け入れを目的として設立された歴史を持ち、カトリックの宗教観をベースにした愛情重視の「情緒教育」を実践してきた。ドン・ボスコの「子ども自身が愛されていると感じることが必要である」という理念のもと、教員と生徒の距離が近い少人数制教育や、敷地内の聖堂やパイプオルガン等を用いた豊かな宗教・音楽教育が大きな特徴。会は要望書の中で、学校を閉ざすことは「数十年にわたり築き上げてきた人的財産と、長年の実践による教育的知見を失うこと」だとし、強い危機感を示している。
同会の活動には、キリスト教の信徒ではない保護者からも、「100年かけて先人たちが守り、現場の先生方が育ててきたこの空気感は、一度壊せば二度と取り戻せない、日本のキリスト教界にとっても大いなる財産」「本校が守ってきたのは、単なる校舎ではなく、日本の教育が失いかけている『人間としての尊厳を守る仕組み』そのもの」「ドン・ボスコの教育への共感と敬意、それを体現し続ける先生方への感謝、そして笑顔と優しさに満ちたこの学校への愛情が原動力。100年後に残すべき学校」など、サレジオの教育の存続を願う切実な声が数多く寄せられている。
署名活動は現在、オンラインおよび直筆にて行われており、第一次締切は4月10日となっている。法人の決定に対し、教育現場の存続と再建に向けた協働を模索する保護者らの声が、今後どのように受け止められるのか注視される。オンライン署名は特設ページ(https://x.gd/mm7St)から。詳しくは公式ホームページ(https://x.gd/cDqwKS)まで。














