カトリック横浜教区典礼研修会で菅原裕二氏が講演 米国初・アウグスチノ会出身の新教皇がもたらす「継続と安定」 2026年4月2日

 カトリック横浜教区は2月11日、第44回横浜教区典礼研修会をカトリック藤沢教会(神奈川県藤沢市)で開催した。イエズス会司祭の菅原裕二氏(上智大学神学部特任教授、教皇立グレゴリアン大学名誉教授)が「教皇レオ14世の時代に教会が進む道」と題して講演した。

 菅原氏は、昨年5月に選出された新教皇の人物像やコンクラーベの背景、現代日本のカトリック教会が直面する課題と進むべき方向性について、長年ローマで教会法を教えてきた独自の視点からユーモアを交えて語った。

 第267代ローマ教皇として選出されたレオ14世(ロバート・フランシス・プレボスト)は、史上初のアメリカ合衆国出身の教皇。アウグスチノ会出身としても初であり、ペルーでの宣教活動に従事した後、同会の総長を12年間務め、近年はバチカンの司教省長官の要職にあった人物。

 菅原氏は、新教皇がコンクラーベのわずか4回目の投票で選出されたことに注目し、「130人以上の枢機卿が集まる中で早々に決着がついたということは、次期教皇に求める明確なヴィジョンが事前に共有されていたことを意味する」と推測。カトリック教会の重心がヨーロッパや北米から、南米やアフリカ、アジアへと移行し多焦点化する中、「フランシスコ教皇の路線を継承しつつ、それを統治・制度化できる人物」として、教会法の専門家でもあったプレボスト枢機卿に白羽の矢が立ったと分析した。

 また菅原氏は、新教皇が目指す方向性を「継続」「安定」「平和」の三つのキーワードで表現。第一に、前教皇フランシスコが推し進めた「貧しい人々への配慮」や「環境問題」といった路線の「継続」である。第二に「安定」。前教皇が大胆な改革を行う一方で制度面に不安定さが生じていたのに対し、教会法に通じたレオ14世はその改革を法制度として定着させ、安定させる役割が期待されている。第三に「平和」。新教皇は選出直後のバルコニーでの短いあいさつの中で、「平和(パーチェ)」という言葉を9回も用いており、これが最重要メッセージであると指摘した。

 さらに「レオ」という教皇名の選択について菅原氏は、1891年に回勅『レールム・ノヴァルム』を発表したレオ13世との関連を強調。労働者の権利など社会問題を扱い、教会外の人々にも語りかけたレオ13世に倣い、レオ14世もまた最初の使徒的勧告で「すべての善意の人々へ」という宛先を復活させた。AI問題や環境破壊などを含め、現代の複雑な危機に対して教会外へ広く開かれた対話を目指す姿勢が明確になっている。

 講演の後半では、教皇の視点をローカルな日本の教会に引き寄せ、真の「福音化」のあり方が問われた。菅原氏は、日本の教会が「洗礼者が何人か」「ミサに何人来たか」と「秘跡を数える教会」になってしまっていると警鐘を鳴らし、教会そのものが目に見えない神の恵みのしるし「である」ことの重要性を説いた。

 若者の減少や高齢化という現状に対し、「カトリック教会が社会のマジョリティになろうとするのはやめるべきだ」と断言。教会が本来持っていた共同体としての絆を取り戻すことこそが急務であるとした。また、質疑応答の中で高齢化の話題に触れ、「高齢化をただの『問題』として捉えるのはやめよう。現在の高齢化した教会こそが『神の恵みの実現』であると肯定的に受け止めるべきだ」と視座の転換を力強く促した。

 現代の若者が集う仮想空間(インターネット空間)も、彼らにとっては「現実の世界」であり、足を引き張るのではなく、そこに教会として出て行って福音化を図る柔軟な姿勢が求められていると指摘した。

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