【令和8年熊本地震】 教会を支援拠点に生活再建へ 子ども・外国人・要配慮者支援も広がる 2026年8月8日

7月28日に発生した熊本地震から10日余りがたち、キリスト教会やキリスト教系支援団体の活動は、飲料水や食料などの緊急物資の提供から、被災家屋の片付け、子どもの居場所づくり、在宅避難者や障害者、外国人など支援の届きにくい人々への対応へと広がっている。被災した教会を外部の支援団体に提供する動きや、2016年の熊本地震、能登半島地震などで築かれたネットワークを生かす取り組みも始まった。
被災した松橋教会を支援拠点に
日本福音ルーテル教会は8月7日、「2026年熊本地震被災地支援のための連帯献金」を呼び掛けた。九州教区は発災直後から物資提供と現地調査を続けており、35教会を擁する同教区でも被害が確認された。八代教会(八代市)は水道が不通となり、松橋教会(宇城市)も建物の一部が損傷して、施設の使用に制約が生じている。
九州教区は、単独での活動にこだわらず専門団体と連携する方針を決め、九州キリスト災害支援センター(九キ災)と特定非営利活動法人YNFに、すでに緊急の活動資金を提供した。さらに松橋教会を修復・整備し、平日はYNFスタッフが宿泊して被災地域で活動するためのサテライトとして提供する。日曜日などの教会活動と調整しながら運用するという。連帯献金は、被災者の生活復旧を支える活動や、必要に応じて他団体との共同支援にも充てる。
九キ災も7日、物資拠点の一つである有明バイブルチャーチで、NPO法人FUKUSHIMAいのちの水から提供された水400ケースと災害用布団を搬入した=写真。6教会から24人が荷下ろしに参加。2016年の熊本地震では同教会を拠点に活動した国際NGOオペレーション・ブレッシング・ジャパン(OBJ)も物資を提供した。
木山キリスト教会(益城町)も物資の中継・保管場所として機能し、地域の被災者へ物資を届けている。宇城市松橋町では、被災世帯の家屋内を整理する2回目の作業を実施。断水地域では飲料水だけでなく、携帯トイレやボディーシートなど衛生用品への需要も続いているという。
九キ災は8月3~5日にも、宇土地域や松橋町への物資移送、屋根へのブルーシート張り、家屋内の片付けを実施した。八代市の太田郷コミュニティセンターでは、避難者から温かい食事を求める声を受け、県内の教会に協力を呼び掛けて9日に炊き出しを行う予定。児童養護施設「八代ナザレ園」でもNPO法人LoveEastと協働して炊き出し支援を進める。
子どもの居場所 教会やNGOが支える
避難生活が長引く中、子どもの居場所を確保する動きも目立つ。日本アッセンブリーズ・オブ・ゴッド教団によると、川尻キリスト教会(熊本市南区)は6日、サマースクールを開き、予定を上回る12人を受け入れた。このうち2人は八代市から来た子どもで、保護者の許可を得て前日から牧師館に宿泊して参加した。川尻教会は大きな被害を免れ、水道も通常通り使えることから、被害の大きい地域の家庭を支える場にもなっている。
シャロンキリスト教会(八代市)でもサマースクールを実施。本来は小学生以上を対象としているが、被災後は未就学児も受け入れている。保育施設や学校の再開を不安視する保護者の声も寄せられており、同教団は子どもへの支援を継続するとしている。
ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)は6日、熊本県美里町のコミュニティセンターで、地域住民が始めた「子どもの居場所」の運営を支援した。同団体によると、この日は子ども16人、ボランティア8人、WVJスタッフ3人が参加。車中泊や自宅の片付け、仕事への復帰に追われる保護者を支えながら、子どもが安心して過ごせる時間を確保する。8、9、11、13日にも運営を支援する予定という。

他団体と連携し、児童養護施設への飲料水支援に対応するWVJスタッフ
「支える人」にも支援を
LoveEastは6日、八代ナザレ園で正午から午後7時までかき氷を提供した。同園は断水地域の住民にシャワーを無料開放しており、同法人の活動報告によると8日まで24時間の開放を続ける予定。連日対応する施設職員やボランティアには疲労が蓄積し、自身も被災しながら泊まり込みで活動するスタッフもいるという。
利用者や物資配布担当者への聞き取りからは、ボディーシート、除菌シート、ウェットティッシュなどの衛生用品や、カセットコンロ用のガスボンベ、簡易トイレなどへの需要も聞かれた。水は集まっていても食料が不足する避難所があるとの情報もあり、同法人は対話を通じて細かなニーズを把握し、次の支援につなげるとしている。
熊本YMCAも4日、日本YMCA同盟の総主事、東京YMCA職員と氷川町、八代市を訪問し、ボランティアを必要とする施設や今後の支援活動の拠点候補地を調査した。主な訪問先は八代ナザレ園、日本福音ルーテル八代教会などで、全国から寄せられた物資も届けた。益城町総合体育館と御船町スポーツセンターの被災状況も確認した。
6日には、カトリック山口教会(山口サビエル記念聖堂)の片柳弘史神父と信徒らが車2台で熊本YMCAを訪れ、飲料水と経口補水液を提供。一部は同日中に支援を必要とする地域へ届けられた。片柳神父らは2016年の熊本地震でも熊本YMCAを支援している。
外国人・障害者など「見えにくいニーズ」へ
CWSジャパンは7日、5、6日に行った熊本県内での現地調査を報告した。八代市では、障害のある人を支援する「とら太の会」を訪問。食料不足を聞き取り、6日にレトルト食品やパックご飯などを届けた。同会からは、避難所の外で個別の困りごとを抱える要配慮者が支援から取り残されつつあるとの懸念が示された。
6日には熊本県外国人支援センターで外国人被災者の状況を調査。技能実習生でも、受け入れ体制が整った職場に比べ、個人経営の農家などで働く人は被災状況を把握しにくいという課題を確認した。熊本YWCAとも協議し、県内の情報収集・調整を地元団体が、対外的な連携や資金調達をCWSジャパンが担う方向で役割分担を確認した。今後は八代市を拠点に、一人ひとりのニーズを把握して必要な支援につなげる「ケースマネジメント」や、被災福祉施設の修繕支援を検討する。
日本YWCAも7日、救援・復興支援募金を開始した。募金はYMCA側と、熊本を拠点に外国人住民を支援する「コムスタカ―外国人と共に生きる会」に50%ずつ配分。YMCA分は日本YMCA同盟を通じて熊本YMCAの救援・復興支援に、コムスタカ分は被災した外国人生活者への支援に用いる。熊本YWCAの会員・関係者には人的被害はなかったと報告されている。
日本YWCAは今回を「第一段階」の支援と位置付け、女性、子ども、若者、外国人生活者などへの中長期的な支援も検討する。
学校も教育再開と地域支援へ
学校法人九州ルーテル学院は5日、園児、児童、生徒、学生、教職員に重大な人的被害は確認されておらず、一部施設を除いて教育・保育活動を順次再開していると発表した。大学では被災学生向けの相談窓口を設け、地域復興支援に向けたボランティア活動も調整している。中学・高校は教育活動と部活動を再開し、礼拝堂の立ち入り禁止を解除。体育館は点検・補修が必要で、9月からの使用再開を目指す。寮施設にも一部被害があるが、通常運営を続けている。
創立100周年の記念礼拝、記念式典は現時点で予定通り開催する一方、地震を踏まえ「記念祝賀会」を「記念感謝会」に改称した。
カトリックは支援室を準備 宗教界から資金支援も
カトリック福岡教区では、福岡カリタスが司教館に支援室(仮称)を設け、パート職員3人を配置する準備を進めている。募金管理や問い合わせなどを担う。八代教会には必要な物資が集まったため、当面の物資送付を控えるよう呼び掛けており、同教会のミサは16日午前11時からシャルトル聖パウロ修道女会八代修道院のチャペルで再開する予定。
カリタスジャパンも「令和8年熊本地震緊急支援募金」を受け付け、カリタス福岡などと連携して被災者支援、生活再建、地域復興に充てるとしている。
宗教界からの資金支援も続く。公益財団法人新日本宗教団体連合会(新宗連)は6日、4日に第1次支援として、八代市を中心に救援活動を行う特定非営利活動法人AMDAと被災地NGO恊働センターへ「新宗連国際救援金」からそれぞれ100万円、計200万円を拠出したと発表した。加盟教団を対象とする「令和8年熊本地震被災者救援」の勧募も開始し、今後、被災地の状況やニーズを踏まえて第2次以降の支援を検討する。
発災直後には大量の水や食料を届けることが優先されたが、この間の各団体の報告からは、家屋の片付けや衛生環境、子どもの居場所、外国人や障害者など避難所だけでは把握しにくい人々への支援、さらに支援者自身の休息といった課題が浮かぶ。被災した教会を地域支援の拠点に転じたり、過去の災害で築いた団体間のつながりを再び活用したりする動きも具体化している。
【支援・募金情報一覧】
・日本福音ルーテル教会への献金は「2026年熊本地震支援」と明記の上、郵便振替00190-7-71734「(宗)日本福音ルーテル教会」まで。
・九キ災への支援金は、郵便振替01720-5-169579、または三菱UFJ銀行福岡支店(普通)2613361「NPO法人九州キリスト災害支援センター」まで。
・日本YWCAへの募金は「熊本地震被災者支援」と明記の上、郵便振替00170-7-23723「公益財団法人日本YWCA」まで。問い合わせはTel03・3292・6121(日本YWCA事務局)。
・カトリック福岡教区への募金は「令和8年熊本地震のため」と明記の上、郵便振替01760-6-20729「カトリック福岡司教区」まで。
・カリタスジャパンへの募金は「令和8熊本地震」と明記の上、郵便振替00170-5-95979「(宗)カトリック中央協議会 カリタスジャパン」まで。ゆうちょダイレクトまたは他行から送金する場合は、依頼人番号、氏名に続けて意向番号「6227」を記入する。
・熊本YMCAの「2026年熊本地震 救援・復興支援募金」は9月30日まで。熊本YMCA各施設への持参とクレジットカード決済で受け付ける。問い合わせはTel096・353・6397(熊本YMCA本部事務局)。
(8月8日午前10時現在)














