教皇独訪で諸問題への明言回避 プロテスタント側の期待外れる 2011年10月8日

 【CJC=東京】教皇ベネディクト16世が、今回のドイツ訪問で、カトリック者とプロテスタントが聖体(聖餐式)を共にすることの禁止を解き、またプロテスタント諸派を「教会的共同体」ではなく「真実の教会」と認めるのではないか、とのプロテスタント側の期待が満たされなかったことに失望している人は多い、とENIニュースのルビー・ラッセル記者は伝える。
 訪問の2日目の9月23日にエルフルトで行われた会合に列席した福音教会(EKD)協議会のタベア・デルカー議員は、「大きな期待を持っていたが、今回の旅行ではそれが満たされなかった」と言う。
 「宗教改革」の創始者マルティン・ルターが学んだという旧聖アウグスチノ会修道院で、ベネディクト16世はプロテスタント指導者と会見、EKDのニコラウス・シュナイダー会長は、心が「より多くを求めて燃えた」と語り、会合を「非常に重く深い友好的な出会い」と指摘した。
 シュナイダー会長は、ルターを「わたしたちの教会の間のちょうつがい」だとし、カトリック者とプロテスタント双方に、聖体(聖餐式)を共に守ることが許されるべきだ、と呼び掛けた。プロテスタント教会の多くは今もカトリック者やそれ以外の教派のキリスト者が聖餐式を共に守ることを認めている。
 ベネディクト16世は、分裂に関してこれまで強調されていたことを遺憾だとし、「わたしたちは、わたしたちを分けてきたものだけに目を留め、わたしたちが共通に持っているものを実存的に把握することに失敗した」と語っている。
 2017年が「宗教改革」500周年に当たることから、教皇の歴史的な場所訪問はそれ自体がメッセージだと見る人も多い。「彼は、わたしたちが共通の歴史を有していることを非常に明確に示す場所に来た。わたしはそれが転機であり、わたしたちがこの世界で共通の使命を分かち合っているという方法であると望む」と福音教会のイルゼ・ユンカーマン監督。
 教皇は、ベルリンでイスラム教社会の代表とも会見している。ミュンスター大学イスラム教研究所のムハナド・コルチデ教授は、会見を「ドイツにおけるイスラム教徒を認知する姿勢であり、わたしたちに、イスラム教徒としての認知と名誉を与えるものだが、それは、この世界におけるキリスト者とイスラム教徒の平和的共存へのより大きな道標となった」と指摘する。

独国際放送が失望コメント
 4日間のドイツ訪問で、カトリック教会が直面している諸問題に正面から回答することを避け、象徴的な態度を示すことにした、と国際放送「ドイチェ・ヴェレ」のクラウス・クレーマーが主張する。
 教皇はプロテスタント教会協議会のニコラウス・シュナイダー議長と会談するという友好的な態度を示したものの、正教会への好意を宣言するという「平手打ち」を食わせた直後のことだった。
 カトリック者とプロテスタントの結婚という難題に触れることもなかった。聖体(聖餐式)への参加を双方に認めることをプロテスタント教会の代表や政治家が公然と要請していたが、この願いについても触れなかった。
 改革者の多くは、その中には司教もいるが、独身制、女性の叙階、教会生活の中での平信徒の参画といった論議すべき問題への指針が出されることを期待してきた。

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