【雑誌紹介】 聖書学を「教会の学」に 『季刊 教会』138号

 旧約聖書学者の小友聡(日本旧約学会会長)が2024年10月に東海連合長老会教会全体修養会で講演した内容を収録したQK論文=講演「聖書―信仰と生活の唯一の規範である神の言葉―」。

 「渡辺善太は旧約聖書学者であり、同時に著名な説教者でもあった。渡辺の聖書論全三巻の中に『聖書正典論』がある。……『首吊りの論理』である。渡辺によれば、首を吊るには土台に乗る必要がある。しかし、首に縄をかけて首吊りを貫徹させるためには、土台を蹴とばす必要がある。渡辺はこの土台を聖書学という学問だと言う。聖書を理解するためには聖書学が必要不可欠である。しかし、聖書を神の言として信じる信仰が成り立つためには、この学問を捨てねばならない。……要するに、最後は聖書学は必要ないという『開き直り』の論理である。これは教義学的には正当化されるだろう。しかし、私はこのような『正典論』を支持しない。なぜならば、聖書の背景には歴史があり、聖書は神の言であると同時に歴史的文書でもあるからだ。旧約聖書も新約聖書も歴史の中で記された文書であることをきちんと見据える。その学問的姿勢を堅持しつつ、聖書を神の言と信じるのである」

 「ドイツの旧約聖書学の水準を日本基督教団は意識すべきではないかと思う。ヨーロッパの旧約聖書学の新しい知見はどんどん先を進んでいくが、悲観する必要はない。日本でもコツコツやればついて行ける。学ぶことを止めないことである。いろいろ課題はあるにせよ、ドイツでは旧約聖書学が教会と結びついているように、日本でもそうあってほしい。旧約聖書学を教会の学として徹底して探究する人たちが出てくることを期待する。そういう志のある牧師、特に若い世代を応援したい」

【1,100円(本体1,000円+税)】
【日本基督教団改革長老教会協議会】

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