【雑誌紹介】 「錯覚」に陥る教界 『福音と世界』7月号

 特集「ジェンダー・宗教・現代日本」。実践神学と日韓キリスト教史を専門とする神山美奈子(名古屋学院大学宗教部長、商学部准教授)による「フェミニズムに対する『誤解』と『錯覚』、そして『語りにくさ』」。

 「先にキリスト教主義学校における理事や評議員あるいは役職を務める女性が少ないと述べたが、これは何もキリスト教主義学校だけではなく、日本の大学に見られる一般的な現象であることがわかった。ところが、調べた大学ではDiversity(ダイバシティ/多様性)、Equity(エクイティ/公平性)、Inclusion(インクルージョン/受容)などの文言を入れた人権宣言が掲げられ、その内容が公表されている。日本における、そして日本の教会やキリスト教主義学校におけるこのような露骨な矛盾がなぜ起こるのだろうか。組織の管理者として女性を入れない理由について『適任者がいない』、『一人入れておいたのだから』と語る声さえ聞こえ、人権宣言通りに行なっているという自負と『錯覚』が生じている」

 「女性の按手を認める日本のプロテスタント各教派は、女性が教会での働きを担うことを奨励する。しかし、妊娠や出産時の制度が整えられていないまま、ダイバシティを実現しているとの『錯覚』に陥っているのではないか。制度を定め、その制度を適用させるかどうかの会議すら男性中心に行われる中で、理解や共感を生むことはできない。……『主語』が男性であることを問い直さない限り、真の『議論』は進まない。ここで、一般企業や学校のように、制度として妊娠・出産時における産休や育休制度を整備したら良いというだけではない。休みを取得する期間だけではなく、その期間の主日礼拝をはじめ教会の働きを誰が、どのように担うのか、産休・育休に入る教師に対する謝儀はどうするのかなど、各個教会にすべてを委ねるよりも大枠を教団や教区が整える必要があるのではないだろうか。でなければ、女性牧会の推奨はいつまでも「錯覚」に陥った状態になってしまう」

【660円(本体600円+税)】
【新教出版社】

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