【地方からの挑戦~コレカラの信徒への手紙】 「若者」が必要ですか? 林 智之 2025年7月11日

 地方の教会では、どこに行っても「若い人がいない」という声を聞きます。少子高齢化社会の波は下松教会にも来ており、教会員の平均年齢は77.3歳、中央値を取ると80.5歳、現住陪餐会員の52%が80歳以上、75歳以上だと73%という、ある種予想通りの数字が出てきます。「こどもの教会」での礼拝出席は、付帯施設として幼稚園があっても1人か2人という現状です。子どもたちは習いごとや部活動に忙しく、また地方に行けば行くほど車移動となっていくので、親御さんの都合にも左右され、子どもたちが毎週の礼拝に出席するのが難しくなります。

 そんな状態が続いている中で、地区のある先輩牧師とこんな話をしたことがあります。それがタイトルにもなっている『「若者」が必要だろうか』という問いです。

 何歳までが若者になるかはさておき、中学生以上の子どもたちは部活動や塾で忙しくなり、日曜日に、毎週来ることは難しくなります。大学生になると、地方の子たちは都会の大学に進学する子もいて、さらに教会には来なくなります。そのまま都会で就職する子たちもいるでしょう。社会人はというと、就職する企業にもよりますが、日曜日に出勤の企業もあります。仮に教会と同じ地域圏内で生活をしていても、日曜日の礼拝に出席することが叶わない方もおられます。

 確かに信仰の継承、教会の未来を考えた時に、若い人がいないということは不安になるかと思います。このまま若い人が来ず、教会員の数が減り、合併や解散となってしまうのではないかという思いが頭をよぎります。しかし現在のとても忙しい社会情勢において、働いている方々が日曜日の、それも多くは午前中という、休みの人にとっても仕事疲れでゆっくりしたいであろう貴重な時間に、教会に来ることを求めても厳しい現実があるのではないでしょうか。私たちは一度「若者」という言葉・考えから離れてみることが必要なのではないかと思うのです。

 では、どうするのか。60代以上の方々に目を向けてみたいと思います。定年を迎える年ごろになりますと、そのまま都会で暮らす方もおられますが、親の介護や、家のことなどさまざまな事情で生まれ育った故郷に戻ってこられる方もおられます。そして、幼少期や若い時の教会での思い出を持って礼拝に来られる方もおられます。また、学生時代のミッションスクールでのことを思い出し、教会の門を叩くこともあるでしょう。そして、教会と直接的な関わりがない方についても、それぞれが多くの経験・賜物を持っておられます。その方々の新たな活躍の場、居場所として地域にある教会が用いられるということがあるのではないかと思うのです。

 このように考えれば、地方にはたくさんの60代以上の方々がおられ、教会のこれからに希望を持てるのではないでしょうか。

 もっとも、こんな話を書いている私は、まだ先輩との話し合いで出てきた思いつきを書いているだけですので、自分の教会でもこのイメージをどのように実践していくかを考えていきたいと思います。

はやし・ともゆき 1993年大阪府生まれ。関西学院大学卒業。日本基督教団三原教会主任担任教師、社会福祉法人地の塩福祉会愛光園保育所チャプレン・同福祉会幼保連携型認定こども園愛光園副園長として4年を経て、現在日本基督教団下松教会主任担任教師・学校法人こひつじ学園下松幼稚園園長・日本基督教団徳山教会協力牧師。趣味は写真撮影や茶道、音楽など。ディズニーオタク。

【地方からの挑戦~コレカラの信徒への手紙】 ♪とびら開けて 林 智之 2025年7月1日

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