80年目の敗戦記念日 平和祈祷会で福嶋揚氏「破滅の前に」 2025年8月27日

同じ千鳥ヶ淵戦没者墓苑で毎年8月15日に行われてきた「8・15平和祈祷会」(同実行委員会主催)では、福嶋揚氏(神学者、東京大学研究員)がイザヤ書6章8~13節から「破滅の前に」と題してメッセージを語った。
福嶋氏は、戦争と温暖化は無関係ではなく、共に文明社会の暴走に対する警告だとし、「たえず何かを犠牲にして、誰かを殺すことによってしか成り立たない社会。一見平和に見えるこの社会そのものが、その外側で何らかの破壊、一種の戦争を続けなければ存続できないようなシステム」と指摘。その上で、「経済力と軍事力を競い合う国家間の覇権争い」という社会の仕組み自体を根底から変えなければ、第三次世界大戦を避けられず、「戦争をしないこと、あらゆる手段を駆使して戦争を避けること以外に、この国に生き残る道はない」と警鐘を鳴らした。
さらに、80年前の日本人に「なぜ破滅に向かったのか」と問うように、未来世代も私たちの無策を問いかけるだろうと福嶋氏。聖書は、破滅を直視できず理解できない人間社会の愚かさを描く一方で、「剣を鋤に打ち直す」力を示すとし、「未来の子孫から『よき先祖』と呼ばれるために、共生と助け合いの社会へ大転換を遂げねばならない。その力は聖書と憲法9条に示されており、私たち一人ひとりがそれに結びつき、過去と未来に応答することが求められている」と結んだ。