【地方からの挑戦~コレカラの信徒への手紙】 人生で一番幸せな場所 村田光希 2025年9月11日

 前回はゲーム100連発について書きました。前回書いた記事を読んでいただくと分かりますが、本当にくだらない企画です(笑)。仲が良くないと、くだらないことは一緒にできません。一緒にいなくてもいい事柄なのに、一緒にいようとするならば、それは一緒にいたいからです。一緒にいたいから一緒にいるという動機は教会において大事なのかもしれません。

 福音とはギリギリ煮詰めていうならば、「一緒にいたい」というメッセージだと思うからです。「あなたが、何ができてもできなくても、どんな働きをしたとしても、しなかったとしても、あなたの存在が愛おしい。あなたと一緒にいたい」というメッセージ。奴隷であれば、存在ではなく働きが求められ、働きの度合いによって評価されますが、子どもは前提として存在が喜ばれています。私たちは、神の奴隷でなく、神の子です。救われて神の子どもになりました。聖書の中心は、罪によって神との関係が断絶されていた私たちを救い、永遠に一緒にいようとしてくださる神の働きと言えるでしょう。

 というわけで、神の家族である教会だとすれば、くだらないような遊びであったとしても、もちろん、社会的意義のある働きであったとして、何よりお互いの存在を喜びながら一緒に過ごせたらいいな〜と願いながらの牧会です。

 しかしながら、牧会というのは、やればやるほど、何が正解なのか分からなくなってきますね。正解が分かっていたとして、自分自身の感情や、実状や、信仰がついていきません。ただただ主の憐れみ、教会の皆さんの憐れみに頼るばかりという心境になってきました。神学校出たてのころにあった自信は、どんどんなくなっていきます。お互いの存在を喜び合いたいと願っている反面、一緒にいることの面倒臭さを感じ、避けるような葛藤の中にもいます。人間の集まりである教会は常に未完成で、成長痛を感じます。何より痛みを引き起こしているのは、自分のような気もしてきます。しかし、それでもなお、神の教会であるならば、そこに神のいのちがあることもまた、真実なのだと告白したいと願います。

 遣わされている帯広という町は、自然豊かで一見のどかに見えますが、人口に対する未成年の薬物所持率、援助交際の件数が多いことで有名です。不登校なども多く、昨年は中学生の自殺もニュースになりました。

 3年前、ある中学生の女の子が突然教会に来ました。「今日、自殺しようと思っていたけど、その前に一度教会に行ってから死のうと思った」とのことでした。気の利いた励ましができたかは忘れましたが、福音を伝え、とりあえず来週まで生きてまた会おうと伝えて一緒に祈りました。その日から彼女は、ほぼ毎週教会に来るようになりました。自分は神を信じないと断言していましたが、先日、自分から祈るようになりました。私たちは彼女の命をつなぎ止めることはできません。主の御手の中です。

 僕らができることと言えば、一緒にご飯を食べたり、ゲーム100連発したりするくらいです。くだらない時間を過ごしているのがほとんどですが、とにかく、彼女が生きていて、一緒にいることが何より嬉しい。そして、彼女もまた「教会のみんなといる時間が人生で一番幸せ」と言います。幼いころから虐待され続け、家庭にも学校にも居場所がなかった彼女は、教会に居場所を見出しました。欠けだらけ、問題だらけに見える教会にも、神のいのちがある証しと、この町に教会が必要な理由を見ました。

 むらた・こうき ハーベスト聖書塾、北海道聖書学院、Christ For The Nations Institute Worship Major 卒業。現在、帯広栄光キリスト教会にて牧会。ピアノ、ドラム講師、ラッパー牧師LIGHT HOPEとしても活動中。

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