第3回「宗教メディアサミット」 Webメディアの可能性めぐり牧師ら議論 2025年10月1日

 宗教メディアの関係者らが宗派を超えて集う「宗教メディアサミット」が9月10日、有明GYM-EX(ジメックス、東京都江東区)を会場とするエンディング産業展内で開かれた。2023年の第1回では「新聞」、第2回では「雑誌」の関係者が集い、それぞれの専門性や取材現場で感じた各教団の課題などについて共有してきた。

 同産業展内で開催した昨年に引き続き、3回目となる今回は「宗教におけるwebメディアの可能性」をテーマに、寺社仏閣の参拝記録共有サイト「ホトカミ」を運営する吉田亮氏、キリスト教Webメディア「ともなるラボ」編集長の吉岡恵生氏(日本基督教団高槻日吉台教会牧師)、「未来の住職塾」で僧侶・寺族向け研修講師やお寺の広報ディレクターなどを担う遠藤卓也氏が登壇。本紙編集長の松谷信司が司会を務めた。

 全国の神社仏閣情報を共有する「ホトカミ」の事例を紹介した吉田氏は、「参拝者の声を可視化することで、寺社側も情報発信の必要性を認識し始めた。他方、ネットの世界では信憑性や正確性の確保が常に課題」と指摘。参拝者の要望からアカウントを開設し、情報発信する中で御朱印などを求める参拝者が増え、お寺が活性化するという成功事例も報告した。

 吉岡氏は、教会におけるweb活用の実態について「信徒向けの内向きな情報と、社会に向けた対外的な発信とをうまく使い分ける必要がある」と述べ、「信仰を持たない人」の中にはキリスト教系学校を卒業した関係者も多く、教会で葬儀をしたいというノンクリスチャンの要望にも積極的に答えていく必要性を強調。具体的に葬儀業者と連携して、全国の牧師を派遣する仕組みづくりとこの間の実績について紹介した。

 2012年に松本紹圭氏が立ち上げた「未来の住職塾」の一期生には、宗派や地域を超えて約80人が参加し、続く塾生たちがその後の「向源」「H-1グランプリ」などでも活躍を広げている。

 遠藤氏によると、コロナ禍以降は個人発信に回帰する傾向が強まっているという。松本氏とともに2020年4月から平日朝に配信を続けてきたポッドキャスト番組「Temple Morning Radio」では、延べ200人以上の僧侶が半生を語り、総再生は170万回を超えた。習慣的に聴けるオンライン版「お寺の朝勤行」のような役割を果たし、新しいつながりと学びの場になっている。

 出席した葬儀関係者からは、キリスト教の葬儀をめぐって質問が相次ぎ、情報が少ないだけに関心の高さをうかがわせた。新宗教やカルトをめぐる問題が注目される今日において、従来の紙媒体に接点の薄い層へwebを介してどうリーチするかという課題が改めて浮き彫りになった。

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