日本聖公会 京都教区の「伝道教区」化を承認 中部教区主教が管理主教に 2025年10月2日

日本聖公会は9月17日に開かれた臨時総会において、京都教区を「伝道教区」とすることを承認した。同日付で首座主教名による公示が出され、日本聖公会中部教区主教が京都教区の管理主教を兼務することとなった。2020年の法規改正で規定された「伝道教区」とは、教区主教を置かず、管理主教の下で原則5年以内に他の教区と合併等の再編を目指す教区のこと。
管理主教に任命された中部教区の西原廉太主教=写真前列中央=は京都出身。「故郷にゆかりある地での奉仕に感慨を覚える」としつつも、教区運営の重責を一人で担うことは困難とし、9月30日付で大岡左代子司祭を主教補佐に任命することを京都教区常置委員会に諮り決定した。
9月28日から30日にかけて、国指定重要文化財でもある奈良基督教会で両教区合同の教役者修養会が開かれ、中部・京都両教区の聖職者が集い、交流と協議を深めた。西原主教は最終セッションで「二つの教区が一つになるのは、お互いを見つめ合うためではなく、共にどこを見るかを問いながら歩むため」と強調。歴史と伝統の違いを持ち寄ることによって「豊かさは倍加する」と述べ、協働の意義を語った。
両教区を合わせると聖職者は約40人、教会数は計66に上り、教育・福祉・医療機関を含む幅広いネットワークを有する。「こども食堂や外国人支援など、地域での居場所づくりに教会の底力を発揮できる」とし、「セーフチャーチ・ガイドライン」に基づく共同体形成や、信徒交流、合同礼拝の企画など、具体的な取り組みの可能性も示された。
今後は、新教区形成に向けた神学的・宣教論的検討を進めつつ、丁寧な説明と合意形成が求められる見通し。西原主教は「重荷は1人で担うより2人で担う時、新しい道が開かれる」と語り、祈りと協力を呼びかけている。