日本キリスト教文化協会 功労者に松岡裕子氏、岸川洋治氏 2025年11月4日

 日本キリスト教文化協会(長山信夫理事長)は2025年の「キリスト教功労者」に、画家の松岡裕子氏、横須賀基督教社会館理事長の岸川洋治氏を選定し、10月27日、日本基督教団銀座教会(東京都中央区)で関係者らとともに顕彰式を行った。顕彰は今回で56回目。

 同顕彰式は、キリスト教文化に関わる教育・福祉・医療・社会事業・文化活動などの分野で貢献した人を顕彰することによって、さらなる活動と研究を促し、キリスト教文化を通して、隣人を愛し、思いやりのある文化の醸成を図ることを目的に1964年から開催されてきた。選考の対象となるのは、キリスト教関係の事業や思想の普及に功労のあった75歳以上の男女。

 松岡氏は、日本キリスト教美術協会(JCAA)で長年リーダーシップを発揮し、アジアキリスト教美術協会(ACCA)会長として国際的な文化交流の促進にも尽力してきた。幼少期に実母を失い、国際法学者として知られる養母・松岡朝から深い信仰と文化への眼差しを受け継いだ同氏は、礼拝の音楽体験を契機に聖書の言葉を絵画として表現する道へと踏み出した。商業美術から宗教美術へと転じて以来、約35年にわたり作品を発表。「エマオへの道」シリーズや「幼な子イエス」を描いた作品は、復活の希望と慰めのメッセージを視覚化し、神の臨在と祈りの気配を立ち上らせるものとして評価されている。

 横須賀基督教社会館を中心に、地域に根差したキリスト教社会福祉の実践と研究に長年取り組んできた岸川氏は、コミュニティワーカーとして地域住民と協働した経験を基盤に、教授・学長として人材育成にも力を注いだ。キリスト教精神に立つ「コミュニティケア構想」や職員育成指針を整備し、法人が教会の祈りと使命に立ち返りつつ、研究と実践を往還しながらキリスト教社会福祉の原点とその継承を示してきた功績が評価された。

 両氏に表彰状と花束、副賞が授与された後、それぞれ、田中かおる氏(日本基督教団安行教会牧師)、市川一宏氏(ルーテル学院大学名誉教授)が祝辞を述べた。

 功労者の略歴は以下の通り。

松岡裕子 まつおか・ゆうこ 元アジアキリスト教美術協会会長。1938年北海道生まれ。1954年石川滋彦氏(新制作協会)に師事。1956年東洋英和女学院在学中に日本基督教団霊南坂教会で受洗。1958年オハイオ州 The College of Wooster(長老派)へ留学。1962年ミシガン州立大学で学位 Bachelor of Fine Arts 取得。欧州歴訪後、吉村順三設計事務所でインテリア・デザイン担当。田中忠雄氏(行動美術協会)の勧めで絵画活動へ転向。文化学院および聖心インターナショナル・スクールで教鞭を執る。1985年第1回多摩総合美術展賞受賞。1988~2022年日本キリスト教美術協会会員。1992~98年アジアキリスト教美術協会会長。2001年より東洋英和女学院評議員。2005年より日本美術家連盟会員。

岸川洋治 きしかわ・ようじ 横須賀基督教社会館理事長。1947年佐賀県生まれ。1965年明治学院大学社会学部社会福祉学科入学。1967 年から横須賀基督教社会館でボランティア活動を行い、1969年大学卒業後、社会館に就職。1989年社会館が創設した高齢者デイサービス所長を務める。1998 年西南女学院大学保健福祉学部福祉学科教授、2004年西南女学院大学学長・院長に就任。2005年社会館常務理事として復職。2007年館長に就任、2021 年理事長に就任。日本キリスト教社会事業同盟、日本キリスト教社会福祉学会などの役員を長く務めた。日本基督教団田浦教会会員。著書に『近隣活動とコミュニティセンター――横須賀基督教社会館と地域住民のあゆみ』(筒井書房、2004年)。

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