【信仰の入口から世界へ】 共感、接続、実行 山田真人(NPO法人せいぼ代表理事) 2026年1月21日

今回から連載を書かせていただく、NPO法人聖母代表の山田真人です! 私たちは、アフリカのマラウイで給食支援をしている団体です。この連載では、信仰が国際課題や社会実践へどうつながるのかをお伝えできればと考えています。
私は大学で英文学と神学を修め、司祭職も考えていましたが、英国のカトリック実業家の影響で進路が大きく変わり、英国の通信事業会社に入社すると同時に、NPOの代表として活動するようになりました。信仰と国際課題は、私の中では一本の線で結ばれていきました。その道筋を「共感・接続・実行」の三つで整理します。
第一に「共感」です。19世紀小説、特にディケンズ『オリバー・ツイスト』は、貧困が単なる欠乏ではなく、尊厳や選択肢が奪われる構造であることを教えました。さらに、『チャリティの帝国――もうひとつのイギリス近現代史』(金澤周作、岩波書店)を通し、支援が社会を支える一方で、支援する側/される側の固定化にもなり得る視点に出会いました。これらは、私が幼少期から侍者としてミサに仕え、教会で得た自己肯定感が、尊厳を神の前に感じ、自ら社会の役に立ちたいと思えた信仰の体験とも繋がっている思います。
第二に「接続」です。ハリエット・ビーチャー・ストウ『アンクル・トムの小屋』では、南北戦争下の社会課題が、聖書の「苦しむ僕」と重ね合わされ、現実・聖書・人物の生が一つの物語として結びついていました。私は予型論という釈義方法を学び、信仰や隣人愛が社会構造や国際課題とつながると感じました。
第三に「実行」です。マラウイで職業訓練と通信事業を行ったTony Smithとの出会いが、私を現実の一歩へ突き動かしました。彼の言葉“Doing Charity by Doing Business”は、慈善を継続可能な事業として形にする発想です。NPO法人聖母としてマラウイの小学校12校・幼稚園45校に給食を提供し、日本の約40校の高校・大学と連携して若者とソーシャルビジネスの学びと実践を広げています。日本の教育分野では、カトリック教育の考える召命と、NPOが持つミッションをつなげ、社会の中で経済を動かし、世の中に還元していくことで、自分が神から与えられたタレントを考えるという教育にもつながっています。
これらのキーワードは、良きサマリア人のたとえ(ルカによる福音書10章25~37分)ともつながります。私は特に「費用がもっとかかったら、帰りがけに払います」(10章35節)に、隣人愛の〝持続〟と〝仕組み〟の核心を見出します。共感で心が動き、接続によって意味が立ち上がり、実行として続けられる形にする。そこに、信仰に根差したソーシャルビジネスの可能性があると信じています。
今後の連載では、三つのキーワードを福音書のたとえ話ともつなげながら、NPO法人聖母の活動を具体的に、社会実装していく形について、紹介していきます。これらの内容を通して、キリスト教の洗礼を受けてる人もそうでない人にとっても、社会の中で具体的に他者とつながり、キリスト教が大事にしている価値観や人脈に触れていただければと考えています。

やまだ・まこと 上智大学卒業後、英国通信事業社Mobellで勤務。2019年より現職。2024年、マラウイ産コーヒーでソーシャルプロダクツアワードを受賞。カトリック教育学会会員。バチカン「信徒、家庭、いのちの部署」国際青年諮問機関、カトリック赤羽教会所属。
















