ニケア公会議1700年を問う WCC第6回信仰職制世界会議報告 2026年1月27日

「ニケア公会議1700年」を記念する世界教会協議会(WCC)「第6回信仰職制世界会議」の報告会が2025年12月12日、日本福音ルーテル東京教会(東京都新宿区)で開催された(日本キリスト教協議会=NCC=神学・宣教部門主催)。報告を行ったのは、同会議に日本から参加した西原廉太氏(日本聖公会中部教区主教・京都教区管理主教、NCC信仰と職制委員会委員長)。
会議は2025年10月、エジプトのワディ・エル・ナトルンにあるコプト正教会系施設「ロゴス・パーパル・センター」で開催された。4世紀に開かれたニケア公会議は、キリストの神性をめぐる論争に決着をつけ、「ニケア信条」を生み出した、教会史上きわめて重要な公会議である。381年のコンスタンティノープル公会議、451年のカルケドン公会議を経て整えられた信条は、今日に至るまで諸教会の信仰の基盤となってきた。
今回の世界会議では、「目に見える一致は、今どこへ向かうのか?」という主題のもと、約400人の神学者・教会指導者が集い、分断と排外主義、ポピュリズムが広がる現代世界の文脈で、ニケアの遺産を再解釈する試みがなされた。とりわけ大きな論点となったのが、東西教会分裂の象徴的問題である「フィリオクェ」と、イースター(復活祭)の日付をめぐる課題。
フィリオクェについては、西方教会側で削除を前提とする理解がすでに共有されており、会議中の礼拝でも一切用いられなかった。アングリカン・コミュニオンにおいても、信条の原型に立ち返ることが望ましいとの見解が主流となっていることが報告された。
一方、イースターの日付をめぐっては、今後10年ほどの間に東西教会が同じ日に祝う機会が周期的に訪れることを踏まえ、この機会を生かして共通の日取りを実現したいという方向性が確認された。ただし、暦法や神学的前提の違いから、なお合意形成には時間を要するという。
会議全体を貫いていたのは、三位一体信仰に根ざす「一致」は、単なる制度的統一ではなく、宣教と奉仕における交わりとして生きられるべきだという理解だったと西原氏。ニケア信条は「唯一で、聖なる、普遍的で、使徒的な教会」を告白するが、その一致の目的は教会の自己保存ではなく、「世界が信じるようになるため」(ヨハネ17:21)であると繰り返し確認された。
また、ニケア公会議が帝国権力と結びついていた歴史への批判的省察や、植民地主義と宣教の関係、周縁化された人々の声に耳を傾ける必要性も強調された。スウェーデン・ルーテル教会のアンチェ・ヤッケレン名誉大主教は、現代世界をむしばむ「五つのP(分極化、ポピュリズム、保護主義、ポスト・トゥルース、家父長制)」を指摘し、これらはいずれも三位一体信仰と相いれないと訴えた。
報告の最後に西原氏は、砂漠修道制発祥の地ワディ・エル・ナトルン訪問の経験にも触れつつ、ニケア1700年は過去を記念する出来事ではなく、分断の時代にあって教会が何者として生き、何を証しするのかを問い直す契機であると語った。
















